3回にわたりお送りしてきた楽天技術研究所の森正弥代表とRuby開発者まつもとゆきひろ氏へのインタビューも今回で最終回となる。第一線で活躍するお二人が、どのように言語やプログラミングの世界に入ったのかなどについて紹介する。
言語が好きだった――少年時代を振り返って
―――お二人はいつプログラミングを始めたのですか?
森:私は小学生のときに、PC-8801mkIIを親に買ってもらって、N88-BASICでプログラミングしていました。そのあと、マシン語に興味が移りました。
まつもと:中学生のとき、シャープのPC-1201でのBASICが、最初だと思います。高校生からは、PC-8801無印を使っていましたね。
―――まつもとさんは、いわゆる「マイコン(マイクロコンピュータ)少年」世代ですか?
まつもと:時期としてはそうですね。ただ、僕自身はハードウェアにもマシン語にも興味がない。低レイアには、全然興味がないです。OSから上(のレイア)でないと(笑)。
森:まつもとさんは、なぜ言語の開発を始めたのですか?
まつもと:自然言語を作りたかったけど、エスペラント(言語)を見て、「これは無理だ」とあきらめました(笑)。もともと、どういう風に言語を書くのかというノーテーション(記法)に関心があるんですよ。コンピュータがデータをどう扱うか、言語でどのように表現するのか、コンピュータで何かをしたいとき、やりたいことを言語でどのように表現するのか、また、どうやってコンピュータに伝えるのか。それを考えるのが、言語開発だったんです。まあ、そう考えていた当時、僕が使えた言語はBASIC程度で、言語を作るのに必要な知識はほとんどなかったんですけどね。
それで、大学で言語処理系を扱う研究室に入り、卒論も言語処理システムをテーマにしました。Rubyを作り始めたのは1993年で、最初は僕と周辺の何人かが使う言語でしかないと思っていました。『Unix MAGAZINE』や「ネットニュース」などに、「言語を作りました」という投稿が結構あったけど、どれもほとんど普及していなかったですしね。
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