孫さんにお願いしたいことが……
── 未だベールに包まれたところの多いiPhoneですが、林さんが気になっているところはありますか?
気になっているのはショートメッセージ(SMS)の利用です。海外にいると、つい便利なのでチャットをしているような感覚でSMSを送りまくっていますが、日本でもこれができるのか。
一応、日本のiPhone公式サイトにはSMSの説明もあって、日本語でやり取りしている図も載っていますが……。ちなみに海外でもiPhone同士なら、日本語でSMSができるんですよね。たまにメッセージが届かないトラブルもありますが。
ソフトバンク以外のケータイ事業者とSMSができるのかどうかは、知りたいところです。せめて海外の友人とは安くSMSができるようにしてほしい。
海外、という話に関連して、ひとつソフトバンクモバイルの孫正義氏にやってほしいことがあります。それは、海外ローミング時の料金を下げることです。
私は孫氏は、スピードネットのサービスを提案したあたりから(関連記事)、常に保守的で腰が重い日本のインターネット業界に一石を投じて動かし続けてきた革命の騎手だと思って尊敬しています。以前、Mac専門誌「MacPeople」に、ソフトバンクは「IT革命の旗ふり役」という点でアップルとよく似ている、という記事を書いたこともありました。
その孫氏に、今度は世界の通信業界の革命者になるべく、海外ローミングの料金にも切り込んでいってほしい。iPhoneのGoogle マップを始めとする機能は、海外に行ったときにとても役立ちますが、今の携帯電話の海外ローミングの料金はあまりにも高過ぎる。
利用するすべてのネットワークキャリアに、少しずつお金を落としていかなければならないので高くなってしまうのは分かります。しかし、何か新しい世界中のキャリアが納得できるようなルール作りをしてもらって、iPhoneのような携帯電話が海外でも快適に使えるようにしてほしいです。これは日本だけの話ではなく、海外の携帯を日本で使った場合も同じです。
iPhoneを提供している通信キャリアは、どの国でも月額固定のパケット通信を提供していますよね。例えば、米国に出張に行く人は、AT&Tの1ヵ月ぶんの基本料金を払えば、その月の間は海外でもパケット定額になるといった具合にできると、スゴく便利になると思います。
でも、もしかしたらそういう話をつけるのはソフトバンクではなく、アップルかもしれない。でも、ぜひ孫氏からスティーブ・ジョブズに提案してほしいです。
※その3に続く
筆者紹介──林信行
フリーランスITジャーナリスト。「iPhoneショック」(日経BP刊)の筆者。大学や企業で講演をしたり、製品/技術開発のブレインストーミングに参加することも多く、製品コンサルタントとしての顔も持つ。ジャーナリストとしては、デジタル技術によって変わる人々のライフスタイルやワークスタイルに大きな関心を持つ。ハード、ソフト、ウェブの技術だけでなく、アートやデザイン、コンシューマーやIT系企業の文化についても取材/執筆活動をしている。「MACPOWER」「MacPeople」元アドバイザー。近著は「スティーブ・ジョブズ ー偉大なるクリエイティブディレクターの軌跡」(アスキー刊)、「アップルの法則」(青春出版社)、「アップルとグーグル」(インプレスR&D社)など。自身のブログは「nobilog2」。