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キャリア・ピックアップ 第49回

楽天×まつもとゆきひろで世界はどう変わる? 中編

2008年06月20日 04時00分更新

文● 塩田紳二

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プログラミング言語のために苦労するのはイヤじゃない

―――Rubyでは「簡単さ」という特徴を全面に出していますよね。これまでそういうアプローチの言語は、あまりなかったのはないでしょうか。

まつもと:IBMの(レックス)という言語を開発したMichael Cowlishaw(マイケル・コリショウ)氏が次のようなことを言っていました。 「ある仕事を行なうとき、そのためにプログラミング言語を使う人とそのためのプログラミング言語を作る人の割合は、言語を作る人のほうが圧倒的に少ない。であれば、苦労すべきはプログラミング言語を作る人だ」。 これにすごく共感しました。Ruby開発でも、開発者である自分が楽をするために、何十万人というユーザに手間などを押しつけてはいけないと思っています。

森:まつもとさんには、言語開発者ならではの苦労があるんですね。

まつもと:幸いなことに、僕はプログラミング言語が好きで、プログラミング言語のために苦労することはイヤじゃない。むしろ、大きなチャレンジができてうれしいと思っています。これまで作られてきたプログラミング言語も、開発者側の都合によってユーザが苦労する部分がありました。一般のユーザがそういうことに対して腹が立つように、僕も腹が立っていました。Rubyではそういうことがないようにしたいと考えています。

みんなが「ぎゃー!」という言うことはしません

―――Rubyはこれからも変わっていくのですか?

まつもと:すでに大勢のユーザがいるので、変更前のプログラムが動かなくなるような大きな変更はしないでしょうね。約十年前のRubyが生まれた頃は、大きな変更をしたこともありました。Rubyを使っている10人ぐらいの人が「ぎゃー!」って言ってたのを覚えています(笑)。でも、現在のユーザ規模で同じことをすると、何万人もの人が悲鳴をあげることになってしまうでしょう。大きな変更ができなくなったというのは、少し寂しいです。

―――ほかの言語にチャレンジすることは?

まつもと:Rubyにはやることがたくさん残っていて、自分の興味を引くことも多い。現役でいる間は、それをやるだけで精一杯だと思います。

(次回後編は、森、まつもと両氏の人生をさかのぼり、どのように言語やプログラミングに関わり始めたのかなどを紹介)

 

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