タテ型とドラム式の違い
洗濯力重視派と節水重視派
まずは洗濯機の基本的な違いについて解説しよう。
日本の家庭でよく見かけるタテ型の洗濯乾燥機は洗浄力の高さ、ドラム式は節水性能と乾燥まで含めたトータルでの利便性が特徴である。タテ型は槽にしっかり水をため、衣類をかくはんし、もみ洗い効果でしっかり洗いあげる。一方、ドラム式は洗濯物を上から下へ落とすたたき洗いが基本で、少ない水で洗濯を進めることができる。
また、ほとんどのドラム式には乾燥機能が付いていることも特徴だ。ただし必然的にコストの高い高機能機種になってしまう。そのため、ドラム式=高いというイメージを持つ人も多いだろう。タテ型にも乾燥機能が付いた機種があるが、そういった機種は当然のようにドラム式並みの価格で販売されている。
なお、洗濯槽の回転によって振動が前後左右に分散されるタテ型に対し、洗濯槽を縦方向に回転させるドラム式は床に振動が伝わりやすいため、騒音や振動が出てしまいがちという特性も持っている。
思いきり汚したものを洗ってみたぞ
実は取材を申し込んだのは、実際の洗浄能力を確認したかったという裏の目的もある。そこで今回は「雨でぐちゃぐちゃの庭土」「カップヌードルカレー味」でべったり汚れたタオルとシャツをそれぞれ洗濯してもらうことにした。
今回この暴れん坊たちを洗ってもらったのは、日立の最新タテ型洗濯乾燥機「ビートウォッシュ 湯効利用(BW-D9JV)」。同社のラインナップとしてはハイエンドモデルとなる1台だ。容量は9kgと大容量で、ふとんや毛布だってカンタンに洗えてしまう。
さて、問題の汚れだが、こちらもかなりハイエンドだ。子どもがグラウンドに思いきりスライディングしたような頑固な汚れ。それを力いっぱい揉みこみ、おまけに5時間ほど何もせずに放置したという性悪モノだ。カレーのほうも、カップヌードルの汁を思いきりこぼしたまま5時間。さすがにこれは絶対落ちないだろうという最悪な根性で持ち込んだ……のだったが。
洗剤のCMみたいに「ウソみたいな白さ」になるわけではないが、かえって現実的で驚くべき結果が出た。実家の使い古した5年落ちの普及機で洗濯したときは、奥までしみこんだ汚れはもとより、表面の汚れも落ちきらなかったのだ。このリアルな洗浄力に思わずうなってしまった。
ここから先は洗剤の力になるだろう。「もっとちゃんと落としたい」ということなら、当たり前だが事前にブラシでこすったり、油汚れを浮かしておくなどの処理をしておくことが必要だ。
この洗浄力の秘密は何なのだろうか? 次のページからいよいよ洗濯機を解体し、その技術の秘密に迫っていく。
