このページの本文へ

テクノドリームI:工学~それは夢を実現する体系

東大工学部で富野節が炸裂!ロボットの開発なんかやめましょう!

2008年06月17日 13時00分更新

文● 吉川大郎/アスキーネタ帳編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

富野氏のことばその6 「宗教と経済と政治論を一切出さずにシステムをコントロールしなくちゃならない」

人類が地球という有限に狭いところで何をしているかという行為が、ある部分工学という名の下でコントロールしなくちゃいけないところまで来ているのではないかなと思っています。

━━下山教授が、少子高齢化、二酸化炭素排出問題という課題の先頭を走っている点に触れ、それを日本が解決して世界に発信できるのであれば、尊敬される。ネガティブに考えるのではなくて、課題をどうやって解決していくのかを考えるべきとの発言に対して━━

富野氏 日本人に絶対に、確定的に持っていただきたいことがあるんです。東京の街中を見ても分かるとおりで「西洋文化がこんなに入り込んでいるアジアの文化圏はないんだよ」ということ。これだけきれいにリファインして、咀嚼している民族も、そうそうないんだよということを、もっと自覚的に思っていただきたい。どういう事かというと、かなり本能的に、少なくとも仏教とキリスト文化圏の倫理観も含めて、システム間も含めて、“神”という一神教、“仏様と神々”という多神教の全部のことをかなりどぼっと我々は理解するというか飲み込んでいる人々なんです。これにあと、実を言うと、皆さん勉強していただいて、イスラムのある部分も飲み込んでいただきたいんですよね。どうしてかというと、世界の1/3くらいはイスラム教なわけですから。

 彼らすべてに関して受容できるようなシステム、技術をやっぱり投下していかなくちゃいけない時代に来ているわけです。そういうふうに思っていたときに、まさに日本列島に今日まで生かされている我々というのは絶対希有な……民族とは言いません。希有な“人々”なんです。民族ではありません。列島に住んでいる希有な人々なんだから、それをもってすれば絶対に今後の地球を延命する技術論というのは、打ち出していけると思っています。まだまだ、今日まで、たとえば宇宙開発事業がアメリカ主導になってしまっていると言うことは、所詮一神教の部分とたまたまアメリカという国家の持っている資本力が高かっただけの話です。

 だけれども、これは本当に、つい最近初めて知ったばかりなんですけれども、“北アメリカ合衆国”に住んでいる白人種ほど保守的な人種もいないということも、教えてもらいました。アメリカ国民でパスポートを持っている人口というのは30%くらいで、自分の州から外に出たことのない人が80%くらいの国だっていうくらい保守的な国なんです、と言うことを、ご存じでしたか? だから、それがそういう基盤を持った人の国家が、世界の警察を言っているということも、だいたい基本的に地球を使いこなしていくというセンスを持っていると思います? これも僕はこういう場でお話したくなっているくらいに、人類が地球という有限に狭いところで何をしているかという行為が、ある部分工学という名の下でコントロールしなくちゃいけないところまで来ているのではないかなと思っています。宗教と経済と政治論を一切出さずにシステムをコントロールしなくちゃならないというところまで来ているんじゃないかなと感じています。

次ページ <富野氏のことばその7 「“循環工学”という言い方を創出するべきではないか」>に続く

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン