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ネットワークマガジン UTM研究所 第2回

速さは力!第2次UTM戦争の読み方

2008年06月16日 18時00分更新

文● 大谷イビサ(ネットワークマガジン編集部)

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強化型ASICで対抗するフォーティネット

 一方で、UTMの始祖であるフォーティネットでは、こうしたソニックウォールのようなマルチコアUTMとは反対に、自社製ASICの強化にいそしんでいる。もとより、同社はファイアウォール&VPNだけではなく、アンチウイルスやIDS・IPSなどの処理までASIC化することで、現実的なパフォーマンスを得ることに成功した。このASICに磨きをかけ、こうしたマルチコアUTMに対抗しようというのが同社の作戦だ。

最新の「FortiGateシリーズ」をインターロップの会場で展示

最新の「FortiGateシリーズ」をインターロップの会場で展示

 同社が、中小企業向けの切り込み隊長として投入したのが、4月に発表した「FortiGate-310B」というモデルだ。FortiGateは、アンチウイルスやWebフィルタリングなどでの高速化を図るコンテンツフィルタ用のASICに加え、ハイエンドモデルにファイアウォール、VPN、IPS用のASICを別途搭載してきた。「FortiGate 310B」では、後者のASICを初めてミッドレンジ製品に搭載したモデルになる。これにより、ファイアウォールスループットで8Gbps、IPSで800Mbps、アンチウイルスで160Mbpsというスループットを実現した。

高速UTMの切り札「FortiGate 310B」

高速UTMの切り札「FortiGate 310B」

 このFortiGate-310Bのパフォーマンスは、実は同社の製品ラインナップでも抜きんでて高い。同社は今まで小型ボックス型のエントリ機から通信事業者向けのシャーシ型モデルまで、パフォーマンスごとに整然と品揃えされたラインナップを持っている。これをあえて崩してまでも、ソニックウォールやジュニパーに克っていくという気概が見える製品なのだ。同社は以前から、各機能をオンにしたスループットを公表しており、今後もパフォーマンスがUTM選択の大きなポイントになることを見越していたようだ。

 現状、ギガビットクラスのパフォーマンスを中規模向け製品に持ち込んだという点では、この2社は抜きん出ている。他社の製品でギガビットのスループットを実現するモデルは、高価なハイエンド装置に限られているからだ。第2次UTM戦争においてかなりのリードを保っているといえよう。しかし、今後は競合が高速UTMの製品投入に乗り出してくることは必至。今年後半はますます激しい争いになってきそうだ。

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