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TREND Google徹底解剖第1回

基調講演 : Googleがチャレンジする3C+C (2/3)

2008年06月12日 08時00分更新

文●Debian Project 武藤健志

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注目を集めるAndroid、
Webアプリケーションの未来像Google App Engine

 コネクティビティの代表は、携帯電話向けのソフトウェア基盤であるAndroidだ。パーソナルコンピュータとインターネットが革命的に進展しているのに対し、「モバイルデバイスにはまだ革命が来ていない」と述べたのは、Androidの開発を担当するGoogle モバイルプラットフォーム担当シニアディレクターのAndy Rubin氏(Androidへの注目の高さから、彼は今回のGoogle Developer Dayで最も多忙を極めたうちの1人に数えられるだろう)。

Andy Rubin氏

Google モバイルプラットフォーム担当シニアディレクターのAndy Rubin氏

 Androidには必要なすべてがそろっているとRubin氏は語り、プロトタイプを使ったデモを示した。アイコンやウィジェットは指でドラッグして、狭い画面を有効に扱うことができる。マルチタスクによるアプリケーションのバックグラウンド動作、ブラウザを開いての画面の拡縮、とその処理能力を表した後、Androidが実現するGoogle技術のマッシュアップの例として、Androidで撮影した写真から顔を自動判別して切り出し、アドレス帳にそれを貼り付け、住所情報からGoogle Mapsにリンクして位置を地図上に示すというデモを展開する。さらにGoogle Mapsのストリートビューを開き、ジャイロコンパスを内蔵した携帯自体を動かすことでビュー方向を操作するという芸当は、(その操作の実用性や不審者に見られかねないかはともかく)聴衆の喝采を浴びていた。

Androidデモ1

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Androidのプロトタイプを使ったデモには、聴衆から喝采が

 クラウドに対するGoogleの回答が、Google App Engineだ。Google App EngineはPython言語(他言語の対応も予定)と用意された高度なAPIライブラリでWebアプリケーションを開発し、それをGoogleのインフラを使って展開できるサービスである。Google エンジニアの鵜飼文敏氏同 プロダクトマネージャのPete Koomen氏は、自前でWebサービスを構築するのに比較して、Googleの提供するエンジンを使うことで透過的に得られるスケーラビリティロードバランシングのメリットを挙げる。すでに世界中の技術者たちによって多数のアプリケーションが開発、公開されているが、具体的なアプリケーションとして中国四川大地震の安否情報システムを極めて短時間で作り上げた例を、鵜飼氏は示した。Pete氏によれば、Google App Engine自体は無償で、帯域などに基づく課金モデルはあるものの、その料金は低く抑えられていて、無償の範囲内でも十分なサービスは可能であるとのことだ。

Google エンジニアの鵜飼文敏氏と同 プロダクトマネージャのPete Koomen氏は、Google App Engineについて、そのデモや課金モデルなども示してくれた

お詫びと訂正:記事掲載当初、Google App Engineに関して、発言者の情報に誤りがありました。関係各位にお詫びするとともに訂正いたします。記事は訂正済みです(2008年6月12日)。

(次ページへ続く)

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