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メジャーなビジネスのマイナーな事情

アキバ発アイドル撮影会を追え!(前編)

2008年06月16日 04時00分更新

文● 鈴木隆祐

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自前スタジオは場所代もかからずお得


ウェブカムプロモーション 代表取締役 柳田智幸さん

ウェブカムプロモーション 代表取締役 柳田智幸さん

 タレント撮影会の歴史自体は追ってざっくり振り返るとして、今回はそのビジネスシステム(なんていうと大げさですが)について、このAスタを例にとって明らかにしたい。

 そもそも、スタジオのあるビルは建坪15坪。実にこじんまりしている。さすがにこの規模だと収容人数も限られるので、参加者も1回につき10名定員のところ、今回は当初の4名が3名に減り、すごく高密度。ファンにとってはたまらない。この物件なら家賃もお安いのでは……とはいえ、現状ほぼ土日しか稼働させておらず、元が取れるものなのか?

「むろん自社で撮影場所を持たず、マンションやハウススタジオを借りるのが基本。しかし、その際の所場代が最低でも時間1万円前後からとバカにならない額です。我々も単発的に月1程度でやっている頃は、その都度スタジオを借りていた。たまに日に30万円売り上げるなんてこともあったけど、ほぼ1年は赤字でした」とは柳田さん。

「必ずしも週末に来られる人ばかりではないので、これからは平日夜もやらないと。また逆に、今は撮影会を始めたいという素人さんらに貸す立場ですが、こんな所でも1回につき諸経費込みで3万円はいただいてます」

この方はスタッフさんです

この方はスタッフさん。撮影会が始まる前に、参加者は試し撮りをして、ホワイトバランスの調整を行なう

 あ、そういう売上げも見込めるのね。確かにバブルの頃=エロ系雑誌社の全盛期、どこも新社屋に自社スタを構えて「経費削減」と得意がってたもんだ……なんて回想しつつ、辺りをキョロキョロ。いったい全体、肝心のモデルさんはどこに控えているのだろう。とてもこの狭小スタジオにそんなスペースはないし……。あれ? もしや!?

 撮影用のバック紙が仕切りとなり、垂らされた奥に衣装の置かれた空間があって、それが控え室を兼ねている。そこから今回のモデル、17歳の横浜の高校生、平松真実ちゃんが颯爽とお出ましだ。空間の有効利用とはこのことで、ちゃんと舞台裏まで用意されてたってわけ。考えてみれば、かつて都内のホリゾントスタジオでも、あらたまったメイク室がなく、こんな隅で着替えてもらうなんて事態もあったっけ。

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