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メジャーなビジネスのマイナーな事情

アキバ発アイドル撮影会を追え!(前編)

2008年06月16日 04時00分更新

文● 鈴木隆祐

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メジャーなビジネスのマイナーな事情に迫るこの企画。今回は何かと話題の秋葉原を中心に存在する「撮影会」ビジネスについて迫ってみた。ここではアマチュアカメラマンが参加料を支払って様々なアイドルや女優を撮影する会を取り上げる。運営する会社はどのような仕組みで利益を出しているのだろうか? 実際に秋葉原の撮影会に潜入し、取材を行なった。

潜入なのでこんなイメージです

潜入なのでこんなイメージです。ドアの隙間から夢の世界が……


ああ懐かしき昭和の風情 これが本来のアキバ?


 久々に降り立つ日曜日の秋葉原は、おそらく渋谷並みの人出。駅前は特に様々な販促イベントで賑わっているが、駅裏の路地を抜けて岩本町方面に神田川を渡れば、その喧噪も嘘のようだ。

むむっ、本当にこの建物なのだろうか? ちょっと不安だが、意を決して中へ

むむっ、本当にこの建物なのだろうか? ちょっと不安だが、意を決して中へ

 今回訪れたのは「アキバアイドルスタジオ(以下Aスタ)」と呼ばれるアイドル撮影会。秋葉原で撮影会という触れ込みなのだから、正直、もっとポップな場所なのかと思いきや、ひじょーに地味。サイトに掲載された道順に従って歩くと、1階に蕎麦屋がある、エレベーターもない狭小な雑居ビルに到着した。ともかく、このビルはかなり老朽化しており、階下の案内板も極小の手描きで、いや、はっきり申し上げてだいぶアヤしい……。タイトルに入れるべく、“潜入”の文字がちらつくくらい。4階まで駆け上がると、照明機材がギュウギュウに詰まった15坪ほどのワンルームのドアが開け放たれ、明かりがこぼれている。

 いかにも“萌え”な盛り上がりを予想していたのだが、実際に突入してみると、参加者もけっこう大人だったりして、妙に落ち着き払った雰囲気。主催者の柳田智幸さんも40代前半のごく柔和そうな人物だ。ウェブカムプロモーションという、規模は小さいながらもれっきとした芸能プロの社長。すでに20年以上も芸能界にいるという。

4Fに上がれと書いてあるが……

「アキバアイドルスタジオ」は4階に上がれと書いてあるが……

「以前は『ヤングジャンプ』の表紙や制コレ(制服コレクション)の準グラになったコも抱えてました。そもそもウチ所属の女の子を撮るためのイベントとして始めたんです」(柳田さん)

 本来ならこうした催しにモデルを派遣するのが業務だったわけだが、いっそ自分たちで開催したほうが早いと、2年前に偶然にも近隣の神田に事務所を移し、そこでこの一室も借りて自ら撮影会もするようになった。「後づけになっちゃうんだけど、タレントに地域性を出せるのは今アキバしかない」と柳田さんも意気軒昂だが、確かに現在、記号として通用する地名はどこより秋葉原だろう。六本木にはITバブルの匂いが染み着き、渋谷は完全に大衆化した。

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