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空気の壁に立ち向かえ!

ホントにチャリで時速120km出す技術

2008年06月11日 15時58分更新

文● 二瓶 朗

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スリップストリームでアターック!

 スリップストリームの活用といえば、カーレースなどで、後続のクルマが直線コースで前を行くクルマの背後にピッタリくっついて、タイミングを計って一気に抜き去る! みたいなのでおなじみだろう。ああいう「ピッタリくっついて走れば、後ろの人は空気抵抗が軽減されてラクチン」という、まあ、要は集団で列になって走行するだけなんだけれど、これがどうしてなかなか侮れない。

自転車の集団走行

2007年ツール・ド・フランス第4ステージの1シーン。空気抵抗を減らすために選手たちは大きな集団を作る。アンタたちはなにか小魚の群れですか的な光景。トレック社のツール・ド・フランス2007レポートより

 しかし1つ疑問が。このスリップストリームを形成しているときって、やっぱり先頭の人だけ疲れるんじゃないか? と。

 実は、そのとおりだったりする。先頭にいる人がマトモに空気抵抗を受けるわけだからいちばんしんどい。そこで、自転車のレースでは、各チーム持ち回りで先頭を交代することになる。ある程度の距離を走ったら、さっきまで先頭だった人はスススと下がってチームの後ろに付ける。そして次の先頭担当の選手がぐいぐいとこぎ進む。そしてある程度距離が行ったらまた交代……という繰り返しである。

 ただ、たいがいのチームには「このステージで勝たせたい!」というエース選手がおり、その選手に先頭を負担させることはしない。エースはレース中盤では集団の中で体力を温存させておき、ゴール間際になったら集団からひとり飛び出して、スピードアップ! 目指せゴール! というパターンが多い(ゴールスプリントという)。自転車レースの場合、チームにはエースも必要だけれど、牽引役といわれるそういったアシスト担当の存在も不可欠なのだ。

 ……なんかズルっぽいけど、これはズルじゃない。冒頭のWHPSCだって、全力でこぐのはたったの200mだし。個人TTだって、空気抵抗を抑えなきゃいけないのはたったひとりで走るから。逆に言えば「長距離」「集団走行」という条件がある場合は「空気抵抗にはスリップストリーム最強!」という結論になる。

(スリップストリームを体感するには? 次ページへGo!)

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