紆余曲折もあった。新規事業の立ち上げでは……
武藤さんは、大学卒業後アンダーコンサルティング(現アクセンチュア)に入社し、2000年2月に企業間のマッチングサービスを行なうインターネットベンチャーを立ち上げたという。その後は2000年11月に楽天に同社の事業売却をするとともに入社し、同社内で数々事業を任されたそうだ。現職には、これまでの実績を買われスカウトされたというから、輝かしいキャリアの持ち主だ。
武藤さんのこの華々しいキャリアの最大の特徴とも思えるのが「新規事業や業績不振のサービスを立て直してきた」経験である。まず、インターネットベンチャー立ち上げ時のお話からうかがった。どうやら最初から順調……というわけではなかったようだ。
「企業間のマッチングサービスを立ち上げた当時の2000年頃は、ネットベンチャー業界に『最初は投資期間で無料でサービスを作り、利用者が増えたら、そこから課金システムにシフトする』というモデルが常識になっていました。私もそれをそのままバカみたいに信じ、無料サービスとして事業を開始しました。今思うと、利益を考えないというのは“おままごと”のようなもので、ビジネスではありませんでしたね」
その後、この事業は楽天(株)に売却され、楽天のサービスの1つになる機会に有料化することとなったという。そこで、“おままごと”から脱却し“ビジネス”にするために、武藤さんが注力したのは“営業”だったそうだ。
「サービスを立ち上げたメンバーが戦略コンサルタントとITコンサルタントだったこともあり、起業当時、大企業との交渉の場では荘大なプレゼンなどで首尾よく物事を進めていたのですが、肝心の日銭を稼ぐ努力をコツコツとすることができていませんでした。それを改め、企業をどのようにセグメントして営業したら効率がいいのか、どの規模・業界の企業にベンチャー意識が強く参画してくれる可能性が高いのかなどを考え、地道に営業をしていきました。その結果、いくつかの付加機能は付けましたが、基本的なサービス内容は変えずに半年後には黒字を出すことができたのです」
(6月9日(月)公開予定、後編へ続く)
- ■取材協力
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