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新発見! リチウムで脳の神経が蘇る!?

2008年06月05日 01時36分更新

文● 丸子 かおり

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薬物による新たな治療に期待

 また、神経前駆細胞の増加だけでなく、リチウム投与によって脳の神経幹細胞が増え、神経幹細胞から新しい神経細胞が生み出されたという結果も発表された。実際の医療に用いられている薬の成分が神経細胞に作用していることを見つけ出したのは、もちろん世界初だ。

リチウム

リチウム投与により、神経幹細胞から新しい神経細胞が多く生み出されている。矢印部分が新しい神経細胞だ。(提供:生理学研究所)

 これまで、細胞を再生する医療としては、iPS細胞(※)を病気の患部に移植する方法などが考えられていた。しかし、今回の発見により、細胞を移植することなしに薬物で脳の神経細胞を増やし、簡便に治療できる可能性が開けたのだ。この研究成果を発表した等准教授は、「今回の研究によって、おとなの脳にも存在する神経幹細胞が、通常治療に使われている薬物で増えることを示した。ヒトへの応用についてさらに実験をすすめたい」と話している。

 しかし、まだマウスでの実験段階の結果なので、現在、リチウムを摂ったからといって脳の神経細胞が増えるとは限らないし、独自の判断で服用するのは危険だ。とはいえ、これから研究が進み、ヒトへの応用が利くようになれば、将来的に脳の障害などへの治療に役立つ可能性が開けたことは間違いないだろう。

※iPS細胞……「人工多能性幹細胞」とも呼ばれ、各種の組織の細胞になるよう人工的に作られた万能細胞


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