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キャリア・ピックアップ 第45回

ケンウッドのオーディオを支える音の親方

音質マイスターの“耳”と“手腕”

2008年06月05日 08時00分更新

文● 稲垣章(大空出版)

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後進の育成は難しい

 体制作りという面では、音質マイスターの後進育成も重要だ。現在、音質マイスターを目指している仲間2人と音作りをしていて、彼らにはさまざまな場面で経験を積んでもらっているという。

「音作りという仕事はとても大変です。ホームオーディオからカーオーディオ、国内向け製品から海外向け製品と幅広く、高音質といってもいろいろあります。ジャンルや市場が変わっても対応できる普遍性のある音質と、音楽ソースに合わせなければならない音質があります。ケンウッドはハイエンド製品の専門メーカーではなく、ピュアオーディオ全般を手がけるメーカーであり、カーオーディオやデジタルオーディオプレーヤーなどさまざまな製品を扱っています」

 音質マイスターは、それぞれ製品やマーケットの特徴を知っていなければならないし、回路技術やデバイス部品などを決めていくときには設計者とコミュニケーションを取り、意見をまとめていかなければならないのだ。

「音質を決める技術や部品に関しては、デバイスメーカーの技術者と直接コミュニケーションを取ったりする必要もあります。音の良し悪しが判断できるだけでなく、本当にいろいろな経験が必要になるのです」

 実際に萩原さんは、ホームオーディオからキャリアがスタートし、そこで10年。その後、スピーカー10年、カーオーディオ10年、そして再びホームオーディオに戻り……というさまざまな経験を踏むことによって、ケンウッドの音質マイスターになったという。音質マイスターを目指すということは、一筋縄ではいかない……ということのようだ。

(次ページに続く)

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