カーナビ情報もユーザーの手で育てる時代に
このようなユーザー同士による情報の共有をカーナビで行なおうとするのがパイオニアの「スマートループ」だ。パイオニアは、このスマートループを単純なナビの一機能ではなく、大きなビジョンとして位置付けており、この夏のモデルからは「サイバーナビ」「楽ナビ」「エアーナビ」などシリーズを超えた知の共有が可能になっている。
特に「サイバーナビ」シリーズでは、ユーザーの走行情報を記録して、専用サーバーにアップロードできる機能を持つ。多数の車から収集したデータはサーバー上で統合され、再びユーザーのナビに提供される。こうすることで、渋滞のしやすい道や駐車場の混雑情報、駐車場の入り口情報を最新の情報として共有できるのだ。
利用方法は、サイバーナビは付けて車を走らせるだけとカンタンだ。ナビ内に、さまざまな地点、さまざまな時間帯の走行速度が記録されていく。
サイバーナビの記録装置の「ブレインユニット」は簡単に取り外しできる仕組みで、付属のクレードル「リビングキット」を使ってパソコンとも接続できる。
パソコンと接続することで、パソコン内に蓄えてある「楽曲データ」や「動画ファイル」をナビに転送して、車内で楽しむことができる。しかし、より面白いのは、パソコンを経由してインターネットに接続し、走行情報をサーバーにアップロードできる機能だ。
情報を受け取ったサーバーは、ユーザーの走行情報を元に、ある地点の平均的な車の流れ、駐車場の待ち時間などのデータを集計して、「地点情報」としてユーザーに戻す。このデータをユーザーがダウンロードすることにより、ナビ上でも最新の渋滞予測や渋滞回避ルートの選択、駐車場の待ち時間などの目安が分かるようになるわけだ。
ケータイをつなぎ、リアルタイムに情報更新を
スマートループでは、上記のようなパソコン経由での更新機能(蓄積型プローブ)に加え、ナビ本体に携帯電話や通信モジュールを接続して、リアルタイムに渋滞情報などを得る機能(リアルタイムプローブ)も用意されている。
蓄積型プローブでは地図データ(これに加え、アプリケーションソフト自体のアップデートも含む)が、定期的に(数ヵ月おきに)アップデートされる。本体購入者であれば、3年分(22回)のアップデートが無料だ。
リアルタイムプローブでは、有線で携帯電話を接続する方法のほか、Bluetoothユニットを追加することもできる。後者では、携帯電話をポケットやカバンに入れたままで接続できるため便利だ。
さらに5月の新製品では、ウィルコム製の通信ユニットもオプションに加わり、頻繁にアクセスする人にとってはお得な定額サービス(月額1050円)の利用も可能になっている。