既報のとおり、アドビ システムズ社は3日、PDF文書を作成/管理する「Adobe Acrobat 9」ファミリーを発表した(参考記事)。「Adobe Acrobat 9 Pro Extended」「Adobe Acrobat 9 Pro」「Adobe Acrobat 9 Standard」の3ラインアップを用意するものの、Macに対応しているのは「Adobe Acrobat 9 Pro」のみ。同日からアドビストアでの予約販売が始まっている。価格は5万7540円(通常版)、2万1735円(アップグレード版/特別提供版/アカデミック版)。
印刷用PDFの作成に不可欠な「Adobe Acrobat Pro」。バージョン9では、印刷関係にかかわる機能がいくつか追加/強化されており、今後のデータ入稿形態に影響を与えるものに仕上がっている。
発売に先立って行われたプレスブリーフィングにて、同社マーケティング本部フィールドプロダクトマネージャーの岩本 崇氏から聞いた、最新版のポイントを説明していこう。
最新版の最大のポイントは、パブリッシングのための機能が一段と充実したことだ。ひとつ目は、今後の印刷業界の基準となる各PDF/Xフォーマットへの対応である。
現在、雑誌広告のデータ入稿の規定では、Adobe CS2やCS3で作成されたデータはPDFで入稿する決まりになっている。しかし、今までアドビ システムズ社が用意していた「雑誌広告送稿用」のPDFプリセットが、雑誌広告協会の仕様変更により使えない事態になっていた。バージョン9ではこの点が改善されており、岩本氏によると「新バージョンではその部分を修正して、雑誌広告送稿用フォーマットに完全対応しました。また、将来的なことを考慮してPDF/X4pやPDF/X5gといった最新の標準化規格にも対応しています」とのことだ。これにより、今後、雑誌広告の送稿のみならず印刷用のデータ入稿形式として「PDF」という選択肢が定着するのも間違いないだろう。
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