妙に潰れた4:3の映像と妙に真四角な4:3映像
さて先に紹介した4:3映像の画面サイズ、352×240、640×400、704×480は、縦横比が4:3じゃないのに気づいただろうか?
4:3として計算すれば、横352の場合は縦264、640×480、704×528じゃないと計算が合わない! いずれの場合も縦に引き伸ばされている映像だが、見ていて人がノッポになったり、馬面になってしまっている様子もない。
この秘密は、テレビの画素が縦長になっていることにある。標準放送のテレビの画素は、正方形ではなく縦が1.1倍長い長方形。キャプチャする際には、縦長の画素が1ピクセルとして記録されているのだ。つまりデータ上は、上下が1.1倍に伸びた状態の映像が記録されているというわけ。
でもメディアプレイヤーで再生すると、正しい縦横比で表示されるのは、データに書き込まれている“画素の比率が1(横)対1.1(縦)でっせ”という信号を検知して、縦のサイズを1.1倍に引き伸ばして表示しているからだ。
ところがどっこい! エンコーダによってはこの信号を検知しなかったり(最近はほとんどが検知し、元映像の縦横比(アスペクト比)を保持して拡大・縮小のチェックボックスを採用している)、元データにその信号が入っていなかったり……。あるいはせっかく検知してオススメの704×480とあらかじめ画像サイズを規定値として表示しているのに、手動で「4:3だから704×528じゃないかっ!」と強制的にリサイズしてまっている場合がある。
「妙に四角い4:3映像だな~」(MPEG-1のムービーやDVカム映像をキャプチャしたものに多い)ってのは、だいたいこれが原因。
正しい比率
ムービーはコチラからダウンロードして見て欲しい。
サンプルの素材は人気のPC版美少女ゲームがPS2に移植され絶賛発売中の「いつか、届く、あの空に。」。いや~爆萌えな上に、アップテンポのゆいにゃんの歌がいいなぁ~♪
1.1倍の比率
ムービーはコチラからダウンロードして見て欲しい。
「さほど変わらないじゃないか!ノープロブレム♪」って方は、一般人だ。逸般人のアニメファンは「キャラが崩れとるっ!」って大騒ぎになる(笑)。
0.9倍の比率
ムービーはコチラからダウンロードして見て欲しい。
一般人にはさっぱり違いが分からないかもしれないが、これもアニメファンに言わせると「これじゃ、いたる絵じゃネーかっ!ヴォケー!」と大騒ぎ(いたる絵とは、輪郭が潰れたキャラクターを描く人気の樋上 いたるさんの絵のこと)。
ただココの映像を見ているぶんには、さほど差を感じないが、次のようにして並べると、違いが歴然としてくるので注意して欲しい。
画素の形状の違いによる設定は、気にならない人はそのままスルー方向でもかまわないが、アニメファンのみなさんはキャラの死活問題なのでキッチリ計算して正しい画面比でエンコードしていただきたい。
なお縦長の映像は、縦のピクセル数×90%にリサイズしてエンコードすると、正しい画面比になる。逆に「潰れた4:3だな~」(これもMPEG-1とDVの映像にありがち)という場合は縦のピクセル×1.1のサイズで再エンコード! これでノープロブレムだ。
テレビの画素が縦長ということが原因になっている縦横比問題は、ほぼ解消に向かいつつある。ハイビジョンがPCと同じ正方形の画素を採用しているからだ。つまりハイビジョンキャプチャーすると、再生時には縦のサイズを90%に圧縮して……うんぬんという処理が一切必要ない。1280×720ピクセルで録画された映像は、正方形の画素として記録されているので、再生するときもそのまま1280×720ピクセルで表示すれば元の映像の縦横比は保たれるってわけだ。
(次ページへ続く)
この連載の記事
-
第6回
ゲーム・ホビー
縞シマノイズを完全消去!【インターレース解除編】 -
第5回
ゲーム・ホビー
マルチパスエンコード(VBR)を極める!【可変ビットレート編】 -
第4回
ゲーム・ホビー
ビットレートで画質を調整! CBRの秘密!【固定ビットレート編】 -
第2回
ゲーム・ホビー
重すぎるムービーをシェイプアップ【画質レベル編】 -
第1回
ゲーム・ホビー
まずは動画の構造について教えるぜ!【コーデック編】 -
ゲーム・ホビー
エンコードテクニック虎の巻 - この連載の一覧へ