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業界研究レポート 第6回

ケータイ業界・後編

ケータイ市場は飽和状態ではありません

2008年05月30日 04時00分更新

文● 斉藤邦雄(大空出版)

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豊かな発想のシャープ、ユーザー視点のカシオ

 現在、日本市場向けにケータイ端末を提供しているメーカーには、国内11社、海外6社の17社がある。だが、高機能化に伴う開発コストの高騰と、市場拡大を見込みにくい現状によって、ケータイ事業を見直すメーカーも出てきている。

 3月3日に三菱電機が撤退を発表、4月に三洋電機がケータイ事業を京セラへ売却、5月にはソニーがソニー・エリクソン向け端末の国内生産を縮小することを明らかにした。

 こうした状況の中、シャープは2005年から国内シェア1位を維持し、またウィルコムやイー・モバイルを含む全キャリアの端末を手がけている。シャープの躍進の理由を、前出の法林氏は次のように考察する。

「シャープはマーケティングが熱心なだけでなく、豊かな発想で商品開発に取り組んでいます。同社の開発姿勢における特徴は、携帯電話を単なる電話としてだけではなく、家電的に捉えていることです。その上でユーザーの視点に立って新しいニーズを追求し、またそれに適した形状・操作性を重視して端末を開発している点が、今日の躍進につながったのでしょう。また、ユーザー視点ということでは、シェアこそ低いものの顧客満足度1位を維持するカシオにも注目したいですね。同社の端末は防水機能が有名ですが、操作性などで非常に“かゆい所に手が届く”設計と仕上がりになっています。それがヘビーユーザーを生む要因でしょう」

カシオケータイ

auの春モデルとして今年発売されたカシオの防水ケータイ「W61CA」

(次ページに続く)

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