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日本のベンチャー育成に賭けてきた男

「マイナーさん、日本のITベンチャーってダメですか?」(後編)

2008年05月28日 19時52分更新

文● 吉田育代

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これから必要なのは、 ミドルグロースを支えるVC

―― マイナーさんは日本で投資ビジネスをなさってきましたが、日本の純粋なベンチャーキャピタルとはまた違う視点をお持ちだと思います。この8年間の彼らの活動をご覧になってどう思われますか。

アレン・マイナー氏

マイナー さっき、僕たちが仕事を始めたころは、彼らはビジネスシードにお金が出せなかったといったけれど、この状況はかなりましになったんじゃないかな。ベンチャーのアーリーステージに投資するベンチャーキャピタルは非常に増えたと思う。ここ1年は、サブプライムローン問題などもあってまた少し厳しくなっているようだけど。でも、まだ間(あいだ)が抜けているんだよね。

―― 間が抜けているとは?

マイナー 企業には拡大期というものがあるんですよ。ビジネスを立ち上げて、ある程度目鼻がついてきたら、伸ばしていくときに一気に伸ばさないと、その後の成長が緩慢になってしまう。アメリカでは、シリーズCとか3回め、4回めの投資といって、ベンチャーキャピタルから10~20億円ほど集めて、組織体制を拡充したり、海外展開を開始したり、製品ラインナップを増やしたりといったことを極めて短期間にやるんだよね。それで赤字になるんだったら、それはそれで構わないというぐらいの勢いで。

 それが今の日本では難しい。ある程度ビジネスのメドがついたら、主幹事の証券会社と会計事務所を決めて、株式上場をめざしましょうということになってしまう。そこで、赤字を出してでももうワンダッシュ、という発想が、経営者側にも、ベンチャーキャピタル側にも持てないんだよね。せっかく軌道に乗ったのに、下手に野望を抱いて調子くずすなんて…、と。でも、ほんとうにグローバルな企業をめざすんだったら、そのようなミドルグロースステージは不可欠。だから、僕はアメリカへ戻ってそれをやろうかと思って。日本のほんとうに有望なITベンチャーを、アメリカから引っ張っていって、日本発のグローバルカンパニーを生み出す手伝いをしたい。アメリカへ戻るのは、子供の教育問題が主な動機なんだけど、せっかくアメリカのチームに合流するので、今度はアメリカにいるからこそできることをやってみる。

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