――これほど便利な機能を持った優れたソリューションであるSPIDER PROをコンシューマが使えないというのはなんとも惜しいと思うのですが。
有吉：はい。確かにこれまでも一般の方からのお問い合わせも多く、積極的にご提供できない事については心苦しく感じていました。中にはなんとしても欲しい、という方もいて、これまでいくつかの一般の方にご提供させていただいています。ただ、法人向けという事もあり、78万円という価格に躊躇され、あきらめる方も多くいらっしゃいました。また、現在のSPIDER PROは一般家庭で使う事を想定しておりませんので、大容量のHDDの発熱量やこの熱を押さえるための大風量のファン、デジタル放送対応ではなくアナログのみの仕様など、不便に感じるところがいくつかありました。
そこで3年後を目処に、デジタル対応も含め、一般家庭での使用を考慮した改良を進める事にしていたのです。しかし、ますます増える一般の方からのお問い合わせに、ふと、「3年後に出す」というのはメーカーの発想はないかと思い当たったのです。私どもの信条はベンチャーならではの発想の自由さにあったわけで、「アナログでもいい」「多少熱くてもうるさくても欲しい」とおっしゃってくださる方々の声にお答えすべきではないかと思い至りました。
――では、コンシューマにもSPIDERの提供を開始するのですか？
有吉：はい、大筋ではそういう事です。ただし、これまでどおり法人へのサービスを行いますので、一般向けとの差別化も必要です。そこで一般向けに SPIDER PROを提供するのではなく、若干、機能を限定し、価格を抑えたSPIDER PROの廉価版を2008年6月初旬にリリースします。検索機能を若干絞りますが、ネットの力を最大限の活用し、ユーザー同士のコミュニケーションなども行なう新しいテレビの視聴方法を提案した「コンシェルジュ機能」などサービスを強化します。今回は一部の量販店でも取り扱いを予定しており、店頭で触っていただけるデモを予定しておりまして、SPIDERのある新しいライフスタイルを体験していただけます。
Sユーザーは自分の気に入った番組やCMにコメントを付けて投稿可能。そして、「コンシェルジュ機能」で他のユーザーが気に入っている番組やCMを知ることもできる
――一気にコンシューマに打って出るという事ですか？
有吉：打って出るという事ではなく、真摯にみなさんの声をお応えして行こうという事です。ハード的に充分なものでなくとも、使ってみたいという方にお使いいただき、そこからいただくフィードバックは、新しいライフスタイルの創造をお手伝いする上で、重要な声になるはずであり、これを大事にして行きたいという事なのです。ただし、ひとつお詫びしなければならないのが、今回の提供できるのは関東圏（東京・埼玉・神奈川・千葉）に限定しているという事です。SPIDER PROについては関西で一部サービスを開始しており、今年の夏には本格的に展開していきます。また、すでに申し上げている通り、当面はアナログ対応のみとなります。
