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Atomってなんだ? 初心者でも分かるモバイルの未来

モバイルが変わる!? Centrino Atom入門(前編)

2008年05月24日 13時00分更新

文● 山本雅史

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Atomプロセッサーのコンセプトは
“低消費電力>性能”

 Atomプロセッサーは、インテルにとっては非常に大きなコンセプトの変化から生まれたCPUだ。

Atom Z5xxのダイ写真

Atom Z5xxのダイ写真

 「性能はほどほどで、低消費電力・低発熱。そして、“安くて小さなCPU”を実現したのがAtomプロセッサーである」と、2008年4月に上海で開催された開発者向け国際会議「IDF Shanghai 2008」(IDF上海)の基調講演において、ウルトラモバイルグループ担当上級副社長のアナンド・チャンドラシーカー(Anand Chandrasekher)氏は述べている。

 インテルは従来、パソコンやサーバー向けCPUでは“性能”を最も重視していた。現在主流のCoreアーキテクチャーでは、性能と消費電力とのバランスをより重視しているが、依然として性能に対する要求の比重は高い。しかしAtomプロセッサーは設計段階から、性能よりも低消費電力を重視したことがこの発言からもうかがえる。

 もうひとつ重要なのは、Atomプロセッサーがパソコン用CPUと同じ「x86アーキテクチャーのCPUである」という点だ。

 かつてインテルは、組み込み市場向けに英ARM社のARMアーキテクチャーのライセンス供給を受けて、「xScale」というCPUを製造・出荷していた。しかし、xScaleはx86アーキテクチャーではないため、インテル最大の強みである“x86アーキテクチャーのソフトウェア資産”を生かせなかった。

 そのため、組み込み市場で主流の米MIPSテクノロジーズ社の「MIPSアーキテクチャー」やARMアーキテクチャーのCPUと同じくらい低消費電力かつ低コストでありながら、MIPSやARMのCPUより高性能なx86アーキテクチャーのCPUとして、Atomプロセッサーを開発したわけだ。

Atomの重要な目標

Atomの重要な目標のひとつが、今までx86アーキテクチャーが浸透できなかった携帯型機器だ。MIDはその応用例である

「Atomプロセッサーはx86アーキテクチャーのため、パソコン用のウェブブラウザーやFlashプレーヤーを、大きな変更なく移植できる。そのためAtomプロセッサーを使用したMIDでは、YouTubeなどを見ることができる。MIPSやARMアーキテクチャーのCPUではブラウザーやFlashプレーヤーが古いため、最新のインターネットコンテンツを楽しむには無理がある」(チャンドラシーカー氏)。

 インテルも、すぐにAtomプロセッサーが、MIPSやARMが多用されているデジタル家電や携帯電話の分野にまで採用されていく、とは考えていない。少なくとも2008年は、MIDやNetBook/NetTopといった製品に、Atomプロセッサーは使われていく。

Atomが狙う現在と将来のマーケット

AtomはMIDや比較的大きめのディスプレーを備える携帯機器を皮切りに、次世代ではスマートフォンのサイズに導入できる程度まで低消費電力化を狙う

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