早ければ、来週や再来週に発表?
── 日本版の発表はいつ頃でしょう?
林 発表だけなら早々にあるかもしれません。最初、3G版iPhoneは、WWDCで発表されると思っていたのですが、気になっているのは米国や英国ではiPhoneの出荷がほぼ止まっているということです。
iPhoneは毎日1万5000台近くも売れている製品なので、長期に渡って販売を中断すると、機会損失も甚大になります。そのため、ここに来てWWDC前に3G版iPhoneを発表するという可能性も出てきました。この3G版iPhone発表と同時に、日本での戦略に触れると思われます。
それにWWDCで、日本の戦略を発表してしまうと、日本のメディアに対してスティーブ・ジョブズ自身が製品をプレゼンできません。iPhoneは、確かに製品そのものが素晴らしいけれど、その魅力を一番効果的に伝えられるのは、スティーブ・ジョブズです。
iPhoneは、アップルの今後の戦略上も要となる製品。彼が日本のキャリアの重役にプレゼンを任せてしまうとは思えません。となると、彼が講演を行なうWWDCとは時期をずらすことでしょう。
── ズバリ、具体的な日時はいつですか?
林 最近の統計ですと、アップルの新製品は、日本時間の火曜日の夜9時半頃に発表されることが多いです。
そのため、先週と先々週の火曜日は、そわそわして仕事になりませんでした。そういう意味では、今週や来週の火曜日も気になるところです。個人的な希望を言えば、来週の水曜日、6月4日はJEITAでiPhoneやAndroidについて講演するので、避けて欲しいところです(笑)
理想はWWDCで3G版iPhoneを発表して、その後に、日本の戦略を発表することだと思うのですが、なかなか世の中の常識では動かないのがアップルなので、そのあたりは何とも言えません。
もっとも、これはあくまでも「発表」時期の話。iPhoneを発売するまでには、許認可などの問題もあるので、もう少し時間がかかるでしょう。ただ、それでも今年の秋から年末にかけては手に入るようになるのではないでしょうか。
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筆者紹介──林信行
フリーランスITジャーナリスト。「iPhoneショック」(日経BP刊)の筆者。大学や企業で講演をしたり、製品/技術開発のブレインストーミングに参加することも多く、製品コンサルタントとしての顔も持つ。ジャーナリストとしては、デジタル技術によって変わる人々のライフスタイルやワークスタイルに大きな関心を持つ。ハード、ソフト、ウェブの技術だけでなく、アートやデザイン、コンシューマーやIT系企業の文化についても取材/執筆活動をしている。「MACPOWER」「MacPeople」元アドバイザー。近著は「スティーブ・ジョブズ ー偉大なるクリエイティブディレクターの軌跡」(アスキー刊)、「アップルの法則」(青春出版社)、「アップルとグーグル」(インプレスR&D社)など。自身のブログは「nobilog2」。