「関連情報」を上手に活用してシンプルにする
6.「事後条件」
ユースケースがうまく動いたら結果として何が出てくるのか。それを書くのが事後条件です。この場合なら、次回から利用者がシステムを利用できるように「ユーザID」と「パスワード」を発行します。一般的なWebシステムの場合には、仮のユーザIDとパスワードを発行し、後ほどユーザがそれらを変更するような仕組みにしています。
事後条件:「ユーザIDとパスワードを発行する」
7.「関連情報」
「主シナリオ」のところで触れた「ユーザ情報」の属性は、ここに書きます。
関連情報
ユーザ情報は次の項目である。なお項目名に(*)とあるものは必須項目である。
(1)氏名 (*)
(2)ふりがな (*)
(3)生年月日 (*)
(4)住所 (*)
(5)電話番号 (*)
(6)好きな本のジャンル
(7)専門分野
このようにして作ったユースケースシナリオは、システムに関連している人同士で読み合わせします(図3)。その中でモレがないかどうか、余分なことがないかどうか、シナリオはスムーズに動くかどうかの検証が必要です。
ユースケースシナリオが完成すれば、名詞と名詞句からクラスを抽出し、動詞と動詞句からクラスのメソッド候補を抽出します。ユースケースシナリオが日本語で正確に記述されていなければクラスとメソッドの抽出が上手くいかないことは先ほども説明しました。逆にユースケースシナリオが正確に書かれていれば、クラスとメソッドの抽出がラクになり、バグの少ないシステムを作ることができます。くどいようですが、日本語を正確に使いこなすことがいいシステムを作る条件になっていることを理解してください。
さて、次回でこの連載も終わりになります。これまで8回にわたって説明してきたことの総括をすることとします。主に若いSEの人たちが、これから自分をどのように鍛えればよいのか、そのヒントになればと考えています。
筆者紹介──福田 修
(株)CSK、日本インフォメーションエンジニアリング(株)を経て、テクノロジー・オブ・アジア(株)設立、代表取締役に。適切な情報技術の動向把握に長け、2000年問題の効果的解決、インドのSI会社との提携、Webアプリケーションへの取り組み、オブジェクト指向設計/開発の導入等を、早い時期から対応し、後発システムベンダへの指導的立場にある。著書に『SEを極める仕事に役立つ文章作成術』(日経BP社発行)がある。
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