文化庁案は「認めさせられた」?
── その後はどうなりました?
津田 「補償金制度の抜本的改革」を要請されていたにも関わらず、何も結果を残さないで小委員会を終わらすわけにはいかない。
そこで文化庁が12月の私的録音録画小委員会にて、「DRMで著作物の複製をコントロールできるようになれば、将来的に補償金を撤廃する」というひとつの方向性を提案してきたという流れがあります。
小委員会が立ち上がる前も含めて、ほぼ3年に渡って話し合ってきて、もはや何らかの結論を出さなければいけない時期だったため、著作権者やJEITA、消費者団体といった委員会の出席者は「この方向に行くしかない」と暫定的にではありますが、文化庁案を認めたわけです。……正確にいえば、「認めさせられた」ということかもしれませんが。
とはいえ、この時点での文化庁案は、「20XX年までに補償金をなくす」という具合に、撤廃まで何をどうするのか決まっていなかった。だから今回の会議では、「過渡期の措置として補償金にiPodなどを含めるかどうか」という話し合いが行なわれたわけです。
── 今回、大手新聞の報道では、「将来的に補償金を撤廃する」という話をせずに、「iPod課金」だけをクローズアップする媒体もありました。これはなぜでしょう?
津田 単に普段あまりこの件を追っていない記者が、ニュースを書いただけだじゃないでしょうか。会議前の6日に朝日新聞が報道した「iPodに『著作権料』上乗せ」というニュース(関連リンク)がきっかけで、今回の会議には新聞やテレビが数多く取材に来ていました。
僕にしても、主婦連合会の河村さん(河村真紀子さん)にしても、この2年間、小委員会の席上で「そもそもなぜ補償金を払うのが分からない」と言い続けてきました。その上で、文化庁がなんとかまとめようと出した妥協案について「廃止までの過渡期として、補償金を存続させるという方法は理解できる部分もある」と認めて、さらにiPodを対象に含めることへの疑問や懸念を表明しているつもりです。そうした2年間の流れを一切無視されて、消費者団体が補償金を認めているような表現で書かれるのは、困った話だなと思います。
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