あと1、2回の会合が「山」
── 補償金とセットで語られることの多い「ダビング10」は、いまだに補償金の議論が分かれているとなると、6月2日のスタートは難しそうです。先送りされますかね?
津田 これはちょっと分かりません。ダビング10の開始は権利者側の問題というより、仕様が決まらないので、スタートまでにメーカー側がアップデーターを用意できるかどうかという話になると思います。ただ、現実問題としては難しいでしょうね。
結局、著作権者は「ダビング10を飲む代わりに補償金を」と考える一方で、録画機器メーカーは「ダビング10と補償金は別々の問題」ととらえているんですよね。僕自身もメーカー側の考えに近いです。
── 落としどころが難しい補償金ですが、こちらも議論が長引きそうですか?
津田 どうなんでしょうね。議論がまとまらなかった場合、最終的には中山主査と文化庁がまとめるという形で引き取られる可能性もあるかと思います。いずれにしてもあと1、2回の委員会が山場ということだと思います。
筆者紹介──津田大介
インターネットやビジネス誌を中心に、幅広いジャンルの記事を執筆するジャーナリスト。音楽配信、ファイル交換ソフト、 CCCDなどのデジタル著作権問題などに造詣が深い。「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」や「インターネット先進ユーザーの会」(MiAU)といった団体の発起人としても知られる。近著に、小寺信良氏との共著 で「CONTENT'S FUTURE」。自身のウェブサイトは「音楽配信メモ」。

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