「取りやすいところからお金を取る」以外の選択を
── 今回の会合の雰囲気はどんな感じでしたか?
津田 時間切れが迫っている中で、文化庁案に乗って補償金を維持したい権利者側と、その思惑を否定したいメーカー側が、現状の文化庁案を完全否定しない形で綱引きをしているという感じですね。消費者側はここまで来ると蚊帳の外という印象です。
中山主査(小委員会主査の中山信弘氏)も言っていましたが、「結局、iPodやHDDなどを補償金に含めたら、それは抜本的な改革にならない」という意見も出ていました。
個人的には、「補償金を廃止することが前提」にするのであれば、これ以上の対象機器拡大は避けるべきだと思いますし、将来的に文化庁が示した状況が来るのなら、すぐにでも補償金制度は廃止すべきだと考えます。
ただ、音楽については少なくともパソコン向け音楽配信サービスは「DRMフリー」(デジタル著作権管理が付いていない)が欧米のデファクト・スタンダードになってますし、ダビング10の行く末も怪しい状況で、今後DRMがどうなっていくのかがまったく見えない。
着うたフルが伸びているといっても、まだまだCDはなくならないでしょうし、それまでの過渡期的措置としてだらだら補償金制度が存続拡大することが一番問題であるように思います。
── 補償金については、クリエイター保護に役立っているという意見もありますが……
津田 権利者側が主張している、補償金のクリエイター保護/創作振興的な役割は、僕自身も意義の大きいことだと思っています。しかし、それは国がもっと大きなレベルでコンテンツ振興をどうするのかと考える文化行政の問題であって、補償金のようなイレギュラーな仕組みで対応すべきことではないと思っています。権利者はいいかげん「取りやすいところからお金を取る」以外の方法を考えた方がいいんじゃないでしょうか。
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