驚異の60枚連写
カメラの話は次回に回すとして、EX-F1がすごいのは「最高60枚の連写」ができることと「パスト連写」機能を持ってること。この2点である。
シャッターを押した瞬間にはもう決定的瞬間は終わってる……それを防ぐには「シャッターを押す前から撮り始め」ればいいのだ。それがパスト連写。
簡単にいえば、カメラを構えてシャッターを半押しにした時点で、カメラがこっそり撮影してるのである。撮影した写真はSDメモリーカードには書き出さず、内部のバッファーと呼ばれるメモリに溜め込んでいく。で、シャッターを押したら、押す直前のバッファー内に残ってる写真と、押したあとの新たにバッファーに溜め込んだ写真をまとめてSDメモリーカードに書き出すのである。
EX-F1はそのバッファーを「60枚ぶん」持ってる。つまり、SDメモリーカードに書き込む前に、内部に60枚まで写真を溜めておけるのだ。これだけあれば安心。
一瞬の猫パンチだって逃さない
これなら「あっ」と思ってシャッターを押して撮影されるまでタイムラグがあったとしても、決定的瞬間に間に合うわけである。そうするとこんな写真を撮れる。
うちの猫が手に持ったパンにちょっかいをだす瞬間だ。左手にパンを持ち、右手にカメラを持ち、猫が手を出してからシャッターを押したのだけど、余裕で間に合った。EX-F1の連写速度は最高で60枚/秒。「猫を撮るには速すぎる」と思ったら、連写速度を変えよう。それがいいところ。
連写速度を15枚/秒に落とすと4秒分ぶん、5枚/秒(だいたい中堅クラスの一眼レフがこのくらい)なら12秒ぶん撮れる。しかも、パスト連写は前後の割合を変更できるので、12秒のうちシャッターを押す前を8秒、残りを4秒と分ければシャッターを押す前の(過去の)画像を多めに残せるわけだ。ちなみに上の写真は連写速度を落としている。
でも、撮影後は最高60枚分を一気に書き出すので時間がかかる。ちなみに60枚全部をSDメモリーカードに記録するには約30秒……、高速なSDカードを使っても20秒弱かかる。連写枚数を少なめにするか、使いたい写真を選んで書き出す機能を使うか、その辺はうまく対応しよう。
筆者紹介─荻窪圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメのレビューをしている。趣味はネコと自転車で、天気がいい日は自転車で都内を走り回りながら面白いものを見つけては撮影する日々。最近の単行本は『デジカメ撮影の知恵』(宝島社新書)。密かにネコ動画ポッドキャストも更新中。
*次回は5月21日掲載予定
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