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TeraStation ISを使ってわかった

低価格な「iSCSI製品」がもたらす福音とは?

2008年05月08日 02時00分更新

文● 大谷イビサ(ネットワークマガジン編集部)

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SCSIコマンドをIPで伝送する「iSCSI(アイスカジー)」というプロトコルが注目を集めています。iSCSIを用いることで、ユーザーはネットワーク上にあるストレージをローカルドライブのように利用できるようになります……といっても、なかなかイメージしにくいのも事実でしょう。確かにiSCSIは非常にメリットの伝わりにくいテクノロジーではあります。ここでは実際に製品を使いながら、iSCSIのメリットと使用感を解説していきます。

SCSIからiSCSIへ

 iSCSIのメリットについて理解するには、従来企業が抱えていたストレージの課題と、技術革新についておさらいしておく必要があります。

 ストレージとは「データの貯蔵庫」を指します。その意味では、メモリカードもストレージではありますが、一般的には物理的には「ハードディスク」やそれらを束ねた「ディスクアレイ」が多いようです。

 ハードディスクは通常コンピュータに内蔵するのが一般的です。実際、サーバ、クライアント問わず、多くのPCでハードディスクは内蔵されています。しかし、保存するデータ容量の大きい企業では、ハードディスクを専用筐体に収容してサーバに外付けする場合があります。こうした外付けのハードディスクを「ディスクアレイ装置」、サーバとディスクアレイ装置を直結する接続形態を「DAS(Direct Attached Storage)」と呼びます。DASを用いると、サーバとストレージが物理的に異なった装置で管理されるため、サーバが壊れても、ストレージに影響を与えません。ただ、サーバとストレージがペアとなってしまうため、データ管理は大きな課題です。これが後述するSANの登場につながります。

サーバとストレージを直結するDAS
サーバとストレージを直結するDAS

 そして、DASでもっとも利用されていたインターフェイスが、ご存じ「SCSI(Small Computer System Interface)」になります。SCSIでは、ハードディスクや光学ドライブなどの数珠つなぎしていくことで、複数のSCSIデバイスを扱うことができます。複数のデバイスにはIDが振られ、「イニシエータ」と呼ばれる機器(通常はPC)から「ターゲット」に対して、コマンドを送り、動作を制御するという流れになります。

 1990年代、ストレージの接続においてはSCSIはメジャーな規格でしたが、規格に併せて数多くのケーブルやコネクタが存在したこと、接続形態が特殊だったこと、ホットスワップをサポートしていないことなどのいくつかの弱点がありました。結果として、1990年代後半、内蔵ハードディスクに関してはSATA、周辺機器の接続に関してはUSBやIEEE1394などのインターフェイスの登場で、SCSIの影はすっかり薄くなってしまいました。SATAのHDDは安価ですし、つなげばすぐに使えるUSBで周辺機器を接続するほうが簡単です。現在、SCSIは信頼性を重視するエンタープライズのサーバやストレージに用いられるのみです。

IPでSCSIが通るとなにがうれしい?

 2000年以降、こうしたSCSI規格とは別に、SCSIの機能をIPネットワーク上で利用しようという技術が登場しました。これがiSCSIです。

 では、iSCSIのメリットとはなんでしょうか? 一言でいうと「iSCSIを用いると、高価なファイバチャネル(FC)の代わりにEthernetを用いて、SANが構築できる」ということです。iSCSIがあると、本来DASで接続しなければならないストレージを、LAN接続できます。

FCでストレージをスイッチ接続するSAN
FCでストレージをスイッチ接続するSAN

 SANの目的は、増え続けるデータの管理を容易にするという点です。DASではサーバとストレージが1対1でひも付けられてしまいますが、複数のストレージをネットワーク化するSANを用いるとストレージを統合管理できます。スイッチを使えば、N対Nでサーバとストレージを柔軟に組み合わせられるのもメリットです。しかし、このSANは今までファイバチャネルを元に構築されていました。ファイバチャネルはギガビットEthernetの原型となった伝送技術ですが、インターフェイスやプロトコルは似て非なるモノで、機器に関しても、専用の「HBA(Host Bus Adaptor)」やFCスイッチが必要になります。FC製品のベンダー自体も少なく、相互接続の問題もあるため、扱うには専門知識が必要です。

 その点、iSCSIを用いれば、接続はEthernetでOK。多くのPCがギガビット化している昨今であれば、この状況は非常に望ましいでしょう。スイッチも低価格なLANスイッチが使えます。しかも、数多くのベンダーがひしめくEthernetの業界では、機器の価格が年々下落していきます。また、高い相互接続性があるため、異ベンダー製品でも(比較的)安心して使えます。


使って分かったiSCSI製品の真価


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