安定動作で安心できるVista搭載機
発熱も小さく不快感なし
中身の方に目を向けてみよう。LV750/MHのCPUは、超低電圧版Core 2 Duo U7600(1.20GHz)。チップセットはIntel GM965 Expressを採用している。メモリーは2GB。イマドキのWindows Vista搭載モバイルノートとしては、標準的な仕様である。ちなみに、VistaのWindowsインデックスエクスペリエンスの値は「2.3」。良いスコアではないが、内蔵グラフィックス機能が足を引っ張っての結果で、ほかは4を超えている。
Vista搭載モバイルPCというと、最近は動作が重いなどとかく評判が悪く、「すぐにXPへ入れ替える」という声も聞く。残念ながらこの機種の場合、XP用のドライバーは現時点では提供されていない。とはいえ、このくらいの性能があれば、Vistaでも特に速度的な問題を感じることはない。むしろ、省電力機能の優秀さからくる安定感や起動速度といった、プラス面の良さを感じる。この機種でも、サスペンドからの復帰の早さなど、快適さにつながっている面が見られた。事実、一週間の試用中、動作の異常を感じて再起動することは一度もなかった。
こうした快適さは、ハードウエアとしての設計の確かさから生まれるものだろう。また同様に、動作時の発熱の低さからくる快適さも感じられた。
省電力機能を効かせ、アイドル状態で測定した場合、もっとも熱を感じる底面左上でも、およそ35度程度。膝の上で生ぬるく感じるくらいである。気になるパームレスト部には、ほとんど熱を感じない。
省電力機能を切り、H.264によるビデオエンコードを行ない、CPUパワーをフルに使っている状態でも、底面の温度は40度くらいであった。昨今のモバイルPCは放熱が難しく、動作中は全体がかなり暖かく感じる機種も多いのだが、LJ750はしっかりと適切に熱が逃がされ、不快感を感じづらい設計になっているようだ。実際、外出して取材や記事執筆につかってみたが、熱で不快感を感じることはなかった。
ただし、本体左側面の放熱口はそれなりに熱を発している。ファンも比較的しっかり動作するようで、廃熱はかなり熱い。高負荷にならない限りファンの音は気にならなかったが、冷たい飲み物は右側に置いた方が、精神衛生上よさそうだ。
気になるバッテリー持続時間は、メーカー公表値で約6.3時間(JEITA測定法1.0)となっている。今回はバッテリー・ベンチマーク用フリーソフトとして知られる「BBench」を使い、省電力機能を最大限効かせた状態と、液晶ディスプレー輝度も高くした「DVD視聴用」の設定の両方で、テストを行なった。
BBenchは、“10秒ごとにキー入力、60秒ごとにウェブへのアクセスを自動的に行なう”機能を持ったベンチマーク用ソフトだ。インターネットへの接続に内蔵無線LAN(802.11nドラフト2.0)を使うことで、「外出先でウェブを使いながら作業する」ことを想定したテストが行なえる。結果は以下の表のとおり。
そもそもノートPCのバッテリー駆動時間というものは、「通信をし続けるとカタログ値通りのデータは出ない」というのが通例だが、LJ750も例外ではない。とはいえ、ディスプレー輝度とCPUクロックを最低に落としていれば、無線LANを使いっぱなしの利用状況に近いと思われる状態でも、4時間程度は動作するということになる。
実用的に考えれば、少しCPUやディスプレー輝度を上げた設定で使うのが快適だろうと思われるので、もう少しバッテリー持続時間は短くなる。だが、負荷の大きい「DVD視聴設定」でも1時間しか変わらなかったことを考えると、おおむね、「無線LANで通信しながらでも、3時間半から4時間は使える」というところではないだろうか。
筆者は経験則として、“仕事用モバイルPC実用性の基準”を、「1日AC電源なしで仕事をするには、掛け値なしで5時間は実働すること」と考える。通信し続けでは難しいが、時々通信をするという条件ならば、この5時間に近い状態で使えそうだ。
バッテリー関連で、ハードウエア面以外で手が込んでいて感心したのが、各種設定用のアプレットの出来だ。
省電力設定やネットワーク設定といった、ユーザーによって細かな調整が必要となる機能に関しては、オリジナルのソフトを用意して設定を保存しておくことができるようになっている。特に省電力機能の設定については、非常にシンプルで分かりやすく、切り替えも容易で使いやすいと感じた。こうした面も含めて、全体的に「実直さ」が見えるあたりに、NECという企業のカラーが感じられて面白い。
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