データを分析・加工し、意思決定支援に繋げる「BI(ビジネス・インテリジェンス)」。顧客との関係を良好にするために、企業内データを分析し、マーケティングを向上させるツールとしてBIが様々なビジネスの現場に使われています。コンピュータの知性がどれほどビジネスの現場に変化を与えられるのか。イオングループは、スーパーとしての規模はそのままに「御用聞き」としてのキメ細やかさをBIで取り入れようとしています。
カードの購入履歴から消費傾向を明らかに
突然ですが、あなたに初めての子供が生まれたとします。かわいい我が子のために、まず何を買うべきでしょうか? 粉ミルクとおむつ? それに、ベビー服やベビーカーも必要でしょう。どのメーカーのどういった商品が一番ふさわしいのかわからないことが多くて、しばらくは試行錯誤が続くかもしれません。さて、子供の誕生から数カ月経ちました。初めての育児に戸惑ってばかりのあなたの元へ、クレジットカードの明細が届きます。するとそこには、オススメのベビー服やおもちゃなどの幼児用商品の情報が並んでいて、それらを購入できる近所のスーパーの地図も掲載されているではないですか。あなたはカード会社に子供が生まれたことは教えていません。それなのにどうして……?
これは遠い未来の夢物語ではなく、数年以内に起こりうる現実の生活シーンの1コマです。こういったお客さんが欲しいものを、欲しいタイミングで情報提供を行ない、購買意欲を促す。そんな仕組みをつくろうとしている会社がイオン(株)です。同社はビジネス・インテリジェンス(BI)ベンダーのSAS Institute Japan(株)が提供する「SAS Customer Intelligence」を導入し、新たなCRMを構築しようとしています。
「消費行動が多様化していく中で、スーパーのマーケティングも従来通りの方法では通用しなくなっています。そこで我々は会員数1600万人のイオンカードの購入履歴から消費者の属性を推定し、それに基づいて商品を提案していくシステムの開発を進めています。現在は、会員の購買データを一定期間蓄積し、使えるデータとそうでないデータに分けて、整理が終わったところ。今後は、電子マネーの『WAON』のユーザー情報も加えながら、マーケティングに利用していきます」。そう語るのはイオンのCRMプロジェクトチームリーダーである神谷一興さん。神谷さんは「お客さまの属性をきちんとつかめば、まだまだ企業として売上を伸ばすことができる」と言います。
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