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テレビをネットに流す意味──TOKYO MXに聞く

2008年05月02日 08時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

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1回性の希少価値は、今後も維持されるか


── キー局がネットに出ていかないのは広告がからんでいるのではないですか?

本間 これまではテレビ番組の1回性という希少価値によって、広告を高い値段で売っていたわけです。何回もやったら価値が少なくなる。そのことを、業界人は本能的に理解しているんですね。したがって、ネットに後ろ向きなのは当然のことと言えます。

 ソフトの話をするときにはコストをだれが負担するかという議論が必要なのです。テレビでいえば広告をどうやって取るか。民法のキー局が、いい番組を作れるのは広告がたくさん入っているからです。

── しかし、これからテレビの広告もネットとのせめぎあいになってきますよね?

本間 広告主からすれば、接触率の高いメディアに広告を投下したいはずですよね。そうなると、ネットはきめ細かくできるから、相対的にテレビの地位が地盤沈下してくる可能性があります。しかも、メディアが多様化してきていて、みんなのリテラシーというのは凄く高くなってきている。

 視聴者は、そんなにバカじゃない。テレビの裏側の話がすぐにネットに載ったり、ネットの裏側のことがテレビに載ったりします。だったら、相互乗り入れをこちらからやったほうがいいのです。


── 動画ポータルサイトで言えば「第二日本テレビ」みたいな例もありますが、それに比べると東京MXのアプローチはずいぶんシンプルに感じます。

番組収録中の筆者

番組収録中の筆者。その内容はYouTubeでチェックしてほしい

本間 コンセプトをいろいろいじくる必要があるのかなと思います。こちらは、単純に昨日やったのを今日ネットに流す。それこそロングテールの逆で、そういうタイミングでやるのがいちばん需要が高いはずです。


── なんでもないように見えて、テレビの意味を変える大変化かもしれない。

本間 番組がYouTubeに上がっていると便利ですよ。編成局長という私の立場からして、やはり見ておかないといけないんですが、休みの日でも、家にいながらいつでも見られてしまう(笑)


── まさか、ご自分のためにYouTubeに流すことにしたとか(笑)

本間 放送と通信の融合などと大騒ぎしていますが、画質もよくなって、テレビとネットが見分けがつかなくなってきている。昔、よく映画はテレビで見るもんじゃないとか言いましたが、いまはテレビの横長大画面で見ている。

 いずれにしてどんどんこっち(ネット配信)にシフトしていく。テレビがなくなることはないでしょうが。

 明るく前向きにやっていけばよいのですよ。うちの場合は、いま広告を取りにいくときに「どんな番組ですか?」と聞かれて、「YouTube見てください」と答えればいいですからね。

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