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ネットテレビが本格的に始動し、YouTubeやニコニコ動画は著作権問題をクリアしつつある。またNGNの登場で、より高画質な映像配信も稼動した。ここにきて動画配信業界が何かと賑やかになっている。さまざまな事業者が複雑に入り乱れる同業界は、どこに向かおうとしているのか。
林立する映像・動画の配信サービスは儲かっているのか?
先日、松下電器産業(株)やソニー(株)などの家電大手メーカーが、インターネット経由で番組を視聴できるネットテレビを、来年の春までに発売することを発表した。この動きに、シャープ(株)、(株)日立製作所、(株)東芝なども追随する見通しだ。現在、ネットテレビのサービスには、ひかりTV(NTTぷらら)、ムービースプラッシュ(KDDI)、BBTV(ソフトバンク)、アクトビラ(松下・ソニーほか家電メーカー主導)などがあるが、近く配信規格が統一される予定で、実現すれば1台のテレビで各サービスを利用できる環境になるという。
またPC向けでは、今年4月から吉本興業がCS放送に代え、ヤフーの協力を得てY∞Y動画を開始している。動画共有サービスでは、3月27日に米グーグルが運営する動画共有サイト「YouTube」と(株)ジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)が日本国内におけるYouTubeでの音楽著作権の包括利用許諾契約を締結し、JRC管理下のミュージシャンのPVやライブ映像を配信可能とした。一方、4月1日には(株)ドワンゴが日本音楽著作権協会(JASRAC)と楽曲の利用許諾契約を締結し、同日から子会社の(株)ニワンゴが運営するニコニコ動画でMTVネットワークスの一部コンテンツの配信を開始した。
これらは一口に映像・動画の配信ビジネスとはいうものの、ビジネスモデルという観点でいえば、Gyao(USEN)やネットテレビのような「コンテンツ配信プラットフォーム」と、YouTubeのような「動画共有プラットフォーム」に大別される。前者は映像作品や自主制作番組など著作権のあるコンテンツをユーザーに提供(配信)することをビジネスとし、後者がユーザーに提供するのはプラットフォームのみで、コンテンツはユーザー自身が提供(アップロード)するかたちになっている。
また、このビジネスに参入している各社の出自にも着目してみたい。NTTやKDDI、USENなどの回線事業者、Yahoo!BBやBIGLOBEといったプロバイダー、Googleなどウェブサイト事業者、ドワンゴ(ニワンゴ)のようなコンテンツ事業者もある。こうしたネット系企業の他には、各テレビ局などの放送事業者、(株)TSUTAYAや(株)DMMといった流通系の企業、松下やソニーなどの家電メーカー、映画やアニメの制作会社などが挙げられる。つまり、この業界は主に「ネット系」と「放送系」のインフラ事業者、流通業者、コンテンツホルダーが対立するとともに、「著作権管理をするビジネスモデル」と「しないビジネスモデル」の対立もある、二重構造になっているのだ。

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