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実機&模型で知る零戦

君はゼロを見たか!

2008年05月03日 00時00分更新

文● 吉田/Webアキバ編集部

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ラバウルで作られた改造零戦……国立科学博物館

 国立科学博物館は上野駅から歩いて数分の上野公園にある展示施設だ。いわゆる科学や技術に関する総合博物館で、零戦はあくまでも日本の工業製品の一つとして展示してある。今回、取材した零戦など工業技術分野のほかにも自然科学分野を中心に様々な展示が充実しており、全館を丁寧に回ると1日ですべての展示を見るのは難しいだろう。

国立科学博物館上野本館の外観。零戦は日本館の中で常設展示されている。

国立科学博物館上野本館の外観。零戦は日本館の中で常設展示されている。

 さて、ここで展示されている零戦は、戦時中にラバウル基地で使用されていた機体だ。第二次世界大戦末期の昭和19年(1944年)、ラバウル基地は連合軍の反攻作戦によって敵勢力圏内に孤立し、日本本土から充分な補給を受けることも出来ず、食料から武器まで現地で調達せざるを得なかった。そのような状況の中で現地所在の損傷零戦複数の機体より作り上げられたものだ。そして本来なら零式艦上戦闘機二一型は単座(一人乗り)であるが、偵察や近在の基地との連絡用に二人乗りの複座型として製作された。なお、本機はラバウルで改造された後、トラック島への連絡飛行に使用されていたが、その後撃墜された。昭和50年(1975年)に海中より遺骨と共に引き上げられ、その後国立科学博物館に寄贈された経緯を持つ。

零戦右前方より

零戦右前方より

零戦斜め前方より。エンジンのカウリングは外されて展示されているので、中島「栄」型エンジンをよく見ることができる。なお、零戦の足下の黒い機体はYS-11の風洞模型

零戦斜め前方より。エンジンのカウリングは外されて展示されているので、中島「栄」型エンジンをよく見ることができる。なお、零戦の足下の黒い機体はYS-11の風洞模型

側面より。ちなみに照明が抑え気味で撮影者泣かせであった

側面より。ちなみに照明が抑え気味で撮影者泣かせであった

機体後部アップ。着艦フック収納スペース(右)と尾輪(左)

機体後部アップ。着艦フック収納スペース(右)と尾輪(左)

コクピットから機体後部にかけて。ほっそりとした機体形状がよくわかる

コクピットから機体後部にかけて。ほっそりとした機体形状がよくわかる

エンジン部アップ。なお、二一型のエンジンの排気管は集合排気管と呼ばれる形式

エンジン部アップ。なお、二一型のエンジンの排気管は集合排気管と呼ばれる形式

機首部分。プロペラ部分は住友金属が米国・ハミルトン・スタンダード社よりライセンスを買って製造した油圧式可変ピッチプロペラが採用されている。つまり開戦後は敵国のパテントを使用して戦っていたことになる

機首部分。プロペラ部分は住友金属が米国・ハミルトン・スタンダード社よりライセンスを買って製造した油圧式可変ピッチプロペラが採用されている。つまり開戦後は敵国のパテントを使用して戦っていたことになる

機首スピナー部分アップ

機首スピナー部分アップ

機首下方冷却用空気取り入れ口から主脚にかけて

機首下方冷却用空気取り入れ口から主脚にかけて

主脚収納部。青竹色と呼ばれる塗装がされている。ちなみに機体に打たれている鋲は空気抵抗を少なくするため「沈頭鋲」と呼ばれるものを使用している

主脚収納部。青竹色と呼ばれる塗装がされている。ちなみに機体に打たれている鋲は空気抵抗を少なくするため「沈頭鋲」と呼ばれるものを使用している

主脚前方より

主脚前方より

翼端。二一型は翼の先端を折り畳めることができる。これは空母のエレベータに収納する際に使用する

翼端。二一型は翼の先端を折り畳めることができる。これは空母のエレベータに収納する際に使用する

 なお、展示スペースには、機体の詳細を知ることができるインフォメーションサービスの端末が設置されている。これを使うと機体全体、およびコクピット周辺について、詳細な名称や機能を知ることができる。

インフォメーションサービスの端末

インフォメーションサービスの端末

機体各部の名称や機能をわかりやすく解説してくれる

機体各部の名称や機能をわかりやすく解説してくれる

(次ページへ続く)

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