元「オタク」「経営のプロ」が放つ衝撃
これまで、弥生を含む中小企業向けパッケージベンダーは、SaaSに対して“興味はあるけれども慎重”な姿勢を崩していませんでした。昨年秋には、他社に先駆ける形で(株)ピー・シー・エー(PCA)がSaaS型サービスを発表したものの、導入には別途パッケージを購入する必要があり、費用は高価。PCAの折登泰樹専務は今年3月のSaaS関連イベントで「SaaSによってパッケージの売上が多少は下がるかもしれない」との発言をしていることからも、「SaaS化はゆるやかな流れ」ととらえている印象を受けます。
ではこうした中でなぜ、弥生だけが「事業の主軸をSaaSへ」という急進的ともいえる動きへ踏み出したのでしょうか。いくつかの理由が考えられますが、4月1日付けで就任した岡本新社長のキャラクターにも大いに関係がありそうです。
というのも、岡本社長は自らを「元パソコンオタク」と評する人物。13歳のころに趣味でプログラミングを始め、大学卒業後は野村総研でSEを経験。その後、ボストンコンサルティングで経営コンサルタントに転身した後に、自身でもコンサルティング会社を起業した経歴を持ちます。
新社長のこうした「技術に明るい」「経営のプロ」といったバックボーンが、今回の新たな事業戦略の策定に影響を与えたのかもしれません。
ただ実際のところ、弥生を支えるのはごく小規模な企業や個人事業主がほとんど。そうしたユーザー層に対して、SaaSをうまく訴求できるかは未知数です。とはいえ、パッケージ販売で成長してきた弥生が“脱パッケージ”へ動きだしたことは、腰の重かった(ように見える)他のベンダーに対して、大きな揺さぶりをかけることになりそうです。
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