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長~く使える極上のPCケース 第3回

[特集]We Love Case! こだわるから楽しいんだ

長~く使える極上のPCケース【サーマルティク編】

2008年04月25日 19時31分更新

文● 加藤 勝明

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ハイエンドにふさわしいフルタワー

Soprano Fx(VH1000BWS)
作業時間:45分

 ハイエンドケースの定義はいろいろあるが、どんな趣向の製品でも「拡張性」「冷却力」の2つは絶対に外せない。この2つの要素をしっかりと押さえた製品に「デザイン」や「面白さ」などが加われば、それはもう長く使えるケースとしての条件をかなり満たすことになる。その意味ではこの「Soprano Fx」はかなり優秀な部類に入るだろう。

Soprano Fx

アルミフロントパネルの曲線が美しい「Soprano Fx」

 アルミを使った独特のフロントマスクがやたらとインパクトがあるが、ケース各所に配置されたファン、豊富なHDD用ベイの存在は見逃せない。Extended ATX対応だけにかなり大柄だが、それは中に入れるパーツを選ばない、という意味でもある。

天板部分

天板部分の丸いハッチを開くと、そこにはUSBやeSATAポートが姿を現す。使わない時はハッチを閉めることで埃の侵入を防げる。サーマルティクはこの形式に強いこだわりがあるらしく、以降で紹介する製品全てにこのタイプの設計が盛り込まれている

パネル開けて

フロントパネル内部は全て5インチベイで埋め尽くされている(ただし電源スイッチ用に1段消費する)。扉の裏側もしっかり作られており、単なる見かけ倒しのカバーでないのが嬉しい

引き出し

5インチベイの最下段は小物を入れるための引き出しになっている。使いにくければ取り外して好きな高さのベイに入れ換えるとよいだろう。前述の「Xaser VI」でも同じものが付属品として添付されている

全景

フルタワーだけあって内部の空間はかなり広い。マザーを装着する部分や床面には親の敵のようにネジ穴が設けられているが、これは様々な規格のマザーや水冷ユニットの設置を可能にするためのものだ

このケースがユニークなのは電源ユニットを縦に設置する点だ。電源ユニットの脇には排気ファン(9cm)が設置され、さらにそのファンの前は3段分のシャドウベイになっている

電源ユニットを装着した状態。写真のように腹部にファンがある電源ユニットの場合、HDD用のベイを装着すると排気効率が悪くなる可能性がある。使わなければ外しておくのがよいようだ

ベイ全景

デフォルトで利用可能な5インチベイは全部で6段。1段は電源スイッチ+3.5インチオープンベイに、1段は引き出し。HDDマウンタは3段分と1段分のものがそれぞれ1つずつ搭載されている。いずれも気に入らないものは取り外せる設計だ

マウンタ全景

HDDのマウンタには冷却ファンが付属しており、HDDの冷却について特に頭を悩ませる必要はない。ただHDDの増設・交換時に毎回これを丸ごと外さないといけない。冷却ファンの電源は汎用4ピンなので、ファンの速度制御が難しいのが少々難点

HDDマウンタの装着はケース前面の目隠し板を取り外し前面から押し込むようにして行なう。内側から出し入れするとマザーが邪魔になってしまうからだ。5インチベイの目隠し板がやたらと外しにくいのはちょっと改善して欲しいところではある

ブラケット部分

サーマルティク製ケースにみられるもう1つの特徴は、拡張スロットの仕切りに設置されているガスケット(銅色のパーツ)だ。電磁波漏れを最小限に食い止めるためのものだが、同時に拡張ボード類を設置するときに気をつけて装着しないとならないため、最初は戸惑うかもしれない。ちなみにこの目隠し板もガッチリとハマっており、この部分に10分くらい格闘していた

グラボ入れて

これだけケースが大きければ、ロングサイズのビデオカードも余裕で入る。拡張ボードのロックはプラスチックのパーツで行なうが、はね上げるだけで取り外さなくてよい(つまり紛失しにくい)のが気に入った

天井部分にはこのように排気用の9cmファンを装着できる。ハイエンドケースにはお馴染みの装備だが、このファンのすぐ裏側は開口率が非常に低く、排気ファンとしての役割を果たしているのかやや疑問。風切り音も割と大きいので、装着しなくてもよいかもしれない

ケーブル

ケースに付属しているファンは全て汎用4ピンから電源を取得する。それはよいのだが、全て使おうとするとこんな感じであまり美しくない感じになる。マザー側に3ピンのファン用コネクタが余っているなら、3ピン式の普通のファンに交換した方がよいかもしれない

完成

とりあえず完成。組み立ての難度自体はさほど高くないが、拡張ボード部分とHDDマウンタ部分の目隠し板をキレイに外すのに思いののほか時間がかかった。作業時間が妙に長い理由の1つは、こうした細かい部分の“ハードル”も地味に効いている。あとはケースファンのケーブルをどう美しくまとめるが問題かも……

ベース

さて組んでみたものの、なぜか起動しない! その理由はマザーを装着するベースにあった。写真中央付近にある突起がマザーの裏面とショートしていたのだ。これを回避するためにケースには絶縁用の透明なフィルムが添付されている。解説書をよく読まないとこうなる、という悪例の1つだ

ガッチリとした設計の硬派なケース

 なによりこのケースは、ぶ厚いフロントパネルの形状とヘアライン加工が、ドッシリとした風格と高級感をかもしだしているあたりが実にいい。ただちょっと気になったのは、標準搭載されているファンの騒音だ。全て汎用4ピンで構成されているため、ファン速度の調節ができない。実際に使ってみると特に天井部分の排気ファンの音が耳につく。パーツ構成によっては不要なファンを回さない、またはより静音性が高く、回転数制御のしやすいファンに交換すべきかもしれない。デザインも細部の作りもよいだけに、ここだけは残念な限りだ。

(次ページへ続く)

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