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川崎市が知的財産にご執心なそのワケ

2008年04月24日 10時50分更新

文● 西川仁朗/アスキーネタ帳編集部

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4月19日、地域の知的財産を創造・保護・育成し、知的財産について考えるフォーラム「アジア知的財産フォーラム in Kawasaki」が開催されました。


マイクロソフトと地方行政の知財を絡めたお付き合い


「アジア知的財産フォーラム in Kawasaki」では、有識者によるアジア各国の知的財産の取組みや、研究者による日本での課題などが発表されました。さらに、フォーラムの最後には川崎市の阿部孝夫市長から、知的財産の価値を認識し、尊重する意識を育み、川崎から世界へ情報発信する「知的財産モラル都市宣言」が行なわれました。

川崎市の阿部孝夫市長

知財を絡めた地場産業の育成を掲げる川崎市の阿部孝夫市長

 なぜ川崎市が知的財産の取組みにこれほど熱心なんでしょうか? どうやらその背景にはマイクロソフト(株)がいるようです。

 マイクロソフトが2005年7月より推進している日本市場向け戦略に「Plan-J」があります。この中で、日本でよりIT投資を促すためのITの啓蒙活動を行なっているのですが、その一貫として行政の知的財産への取組みを後押ししているようです。マイクロソフトは今回開催された「アジア知的財産フォーラム in Kawasaki」の主催者としても名を連ねています。

 今回のフォーラムが開催されたのは、2007年4月に実施された新聞紙上の対談がきっかけとか。マイクロソフトの眞柄泰利執行役専務が阿部市長と対談したときに、「川崎発での知財イベントを開催してみませんか?」と提案したのがコトの始まりだそうです。

知財を絡めた地場産業の育成を掲げる川崎市の阿部孝夫市長

 もともと京浜工業地帯に位置する川崎市は東芝やNECなど大企業の工場が数多く存在します。さらにそういった大企業と取引のある中小の製造業も多い地域です。そこで、川崎所在の大企業はCSRの一環として、彼らが持っている特許の一部を開放し、研究機関や中小企業に提供することで新しいベンチャーを創成しようという試みを以前から行なっていました。しかし、単一企業が、膨大な数の中小企業を相手に開放特許のマッチングを行なうのは非効率です。大企業が何の特許を開放していて、中小企業が何の特許を必要としているのかお互い分からなかったからです。そのときに、2006年4月から知的財産を活用する方針を掲げた川崎市が一種の仲介役として、大企業と中小企業の間に入り、知的財産の流通を手がけるようになったのです。そういった知財戦略を推進していく行政活動を、マイクロソフトがバックアップしています。

 マイクロソフトは川崎市を一つの成功モデルとして、他の市町村にも横展開を狙っていくようです。実際、今回のフォーラムでは豊富な観光コンテンツを持つ、沖縄県那覇市の翁長雄志市長も出席し、知的財産モラル都市宣言を行なっています。那覇市のIT啓蒙活動にもマイクロソフトがサポートを行なうようです。

 知的財産権をきちんと担保しながら、大企業の休眠知財を有効活用した事例が増えてくれば、地方発のおもしろいベンチャーが出てくるきっかけになるかもしれませんね。

川崎市の阿部孝夫市長

左からマイクロソフト 執行役 法務・政策企画統括本部長 伊藤ゆみ子さん、那覇市の翁長雄志市長、川崎市の阿部孝夫市長

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