このページの本文へ

アナタの知らない、もうひとつの顔

オーディオテクニカが握る「寿司」

2008年04月25日 14時00分更新

文● 広田稔/トレンド編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

最初のCMタレントがケント・デリカット


にぎりっこ

家庭用すしメーカーの「にぎりっこ」。ポスターのキャッチコピーは、「へいっ! らっしゃい ケントのデリシャスずし」だ

 このすしメーカーは、地味な(失礼!)見た目からは想像もつかないほど、語るべき要素が多い深い製品になる。まず、当初は業務用でなく、家庭用から始まった。

 製品名は「にぎりっこ」。タレントのケント・デリカットを起用して、初のテレビCMも流した。ちなみに彼を起用した理由が、当時、東京・町田本社の近所に住んでいたから(!)というのも興味深い(同社の会社行事にも来ていたそうだ)。

 「当時、寿司といえば高嶺の花で、気軽に食べられるものではありませんでした。それが家でお手軽にシャリを作れるということで話題になって、最初の1年は大いに売れたんです」(小柳氏)

 上からご飯を投入し、ローラーで型を取って落とすというのは、現在でも踏襲している基本スタイルだ。しかし、すしメーカーって、そんなに数が出るような製品でもないような……

 「家庭用のものは、みなさん1度使うと棚にしまって、そのまま放置してしまうんですよね。話題性はあったけど、商売としては厳しかったので、家庭用は2年くらいで『店じまい』でした」(小柳氏)

にぎりっこ

「にぎりっこ」でシャリ玉を作っているところ

投入口

こちらは現在の業務用のもの。ご飯の投入口にはヒーターと回転式のかくはん装置を用意

成形部分

落下途中にある型でシャリ形の形を整えてターンテーブルに置くという流れになる



売り上げに貢献した年も……


 短命に終わった家庭用製品だが、今後は業務用の寿司メーカーが来るとにらんで事業はそのまま続行した。その後、80年代の後半には大手スーパーや持ち帰り寿司チェーン店に採用され始めていく。

 面白いのは、すしメーカーがオーディオテクニカの窮地を救ったことがあるということだ。1992年、バブル崩壊のあおりを受けて同社は初めて業績が赤字になったが、1993年には黒字への「V字回復」を果たした。その利益の半分を出したのが、業務用のすしメーカーだったという。

 ところですしメーカーには、何かオーディオの技術が流用されているのだろうか?

 「当初はオーディオ出身の技術者が異動してやっていたので、材料や電気など、個々の持っているノウハウが生かされていました。でも、最近は専門の技術者が付いていますし、機械自体も変わっていてオーディオとはほとんど関係ないですね」(小柳氏)

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ