(株)東芝は創業以来、白熱電球を始めとして冷蔵庫やワープロなど、数々の電気製品を生み出してきた国内有数の電機メーカーだ。企業の新入社員の約7割は、技術系の職種に就くという。今回は、このような“もの作り企業”が行なうユニークな新入社員研修にスポットを当てる。研修では、「カタパルト」という投石機を使うのだそうだが、どうしてそんな“レア”なものを利用するに至ったのだろうか。
なんで投石機が、新人育成に役立つのか?
東芝の新人研修では、中世ヨーロッパで城攻めなどに使われたという「カタパルト」が利用されている。研修はこのカタパルトのミニチュア版(城攻めで使用されていたものは、当然かなり大きい)を使って1.8m先のターゲットにボールを落とすそうだ。この時の結果を記録し、より正確なポイントに落とすためにさまざまな改善策を講じるわけだが、ここにポイントがあるという。
「この研修は“もの作り”だけを意識した内容ではありません。チームやチーム間でカタパルトの作業をすることなどで、日々の仕事をより効率よく改善する力、多角的な視点で問題が起こったときに解決する力を身につけさせるためのものなのです」と、東芝イノベーション活動に伴う研修を行なう東芝シグマコンサルティング(株)取締役の赤田喜央さん。
東芝では、西田厚聰社長を筆頭にグループ全体で経営品質の向上を目指す「東芝イノベーション活動」が進められている。新入社員の研修については、従来2週間ほどで行なっていたものを昨年から1カ月に拡大。内容も座学中心のものからグループ討議を多く取り入れるなど、大きく変更されたという。厳しい国際競争にさらされるメーカーにあっては、画期的なアイデアを持つだけでなく、広い視点で周囲を見渡し、自分の力で改善することができる人材を育てることを重要視しているのだそうだ。
また、カタパルトを使用する研修の目的は、「DMAIC(ディマイク)」という問題解決のためのビジネス手法に触れさせることもあるという。DMAICとは、定義(Define)、測定(Measure)、分析(Analyze)、改善(Improve)、管理(Control)の5つの順を追って問題を改善し、経営活動の向上に役立てる手法のことだ。東芝では、このDMAIC手法をいかにして容易に深く学ばせるかを検討し、研修用の道具を色々と探して試してみたという。そしてたどりついたのが、このカタパルトだったのだ。
研修の現場は、学問的な議論が繰り広げられていたり、冗談が飛び交い和やかだったりとさまざま

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