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30層におよぶ蒸着膜で波長をカット

科学の眼(鏡)「バリアントール」

2008年04月22日 22時06分更新

文● 新 淳一/アスキーネタ帳編集部

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眼鏡をかけると色が……

 ただ、そうした事態が起こることは理解できても、実際に色弱者の方にどういう風に見えるのかがわからないため、結局、どんな色の組み合わせでデザインすればいいのかわからないという問題が出てきます。逆に言えば、見え方さえわかれば、色の識別ができる組み合わせをきちんと選んで、デザインを考えることができるのです。かけるだけで、色弱者の立場になって見えるようになる眼鏡の利用価値はそんなところにあります。

8色で描かれたポスターのドットが、特殊フィルタを通すことで4色に。特殊フィルタを通して色の見分けがつくことを確認しながらデザインを行なえば、色弱者の方にも見分けられる配色が行なえる

 バリアントールは、経済産業省の産学連携プロジェクトにより、伊藤工学工業と豊橋技術科学大学、高知工科大学という、産学官の連携によって共同開発され、世界初の色弱模擬フィルタとして製品化されました。じつは今までこうした製品は、フィルタでは実現できないと言われていました。しかし、30層の蒸着膜を使って各波長をカットすることで、色弱者の方が見ている波長と同じものを通すものができあがったのです。

 バリアントールは、すでに450社で採用されており、あの東国原宮崎県知事も買ったのだとか。たしかに役所関連は率先してこうした製品を導入して活用していくべきでしょう。製品をデザインして製造販売する企業もしかり。ニーズはたくさんありそうです。

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