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長~く使える極上のPCケース 第1回

[特集]We Love Case! こだわるから楽しいんだ

長~く使える極上のPCケース【アビー編】

2008年04月22日 19時06分更新

文● 加藤 勝明

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ATXでもコンパクトにできる!

AS Enclosure S1H
作業時間:45分

 ATXマザーを使う利点は、マザーやケースの選択肢がMicro ATXなどに較べ格段に多いことだ。さらに拡張性も高いため、やれRAIDだ、マルチGPUだとパワーアップしていく際にも柔軟に対処できる。しかし、ATXケースで大多数を占めるタワー型は場所をとる。机の上に設置しようものなら、視界の片隅に常にケースが居座ることになり、暑苦しいことこの上ない。
 そんな悩みを持っているなら「AS Enclosure S1H」(以下:S1H)の導入をオススメしたい。S1HはATXマザーが利用できるのにも関わらず、Micro ATXケースをちょっと大きくした程度のコンパクトさを売りにしたケースなのだ。S1Hのもう1つの特徴は、シャーシの素材をスチール合金で、外装をアルミと使い分けている点だ。アルミ価格の高騰というご時世に配慮したのでは?と勘ぐりたくなるが、肉厚のスチールにすることで剛性と制振性を伸ばしている。まさに適材適所といったところだ。

AS Enclosure S1H

世界最小ATXハイブリッドミドルタワーケース「AS Enclosure S1H」。スチールとアルミを組み合わせたハイブリッドケースだ

前面

前面パネルは一辺が面取りされたような格好になっており、そこに電源スイッチや各種ポート類が配置されている。USBやヘッドフォン端子が下にあるのは、机の上に設置することを強く意識しているためだろう

サイズ比較

最大の特徴はATXマザーが使えるのにMicro ATXケースと大差ない大きさになっている点だ。ENERMAX製「CS-10068-MW」と比較してみたが、サイズ的にはほぼ同一といってよい

背面から

もう1つの特徴はマザーを倒立配置、即ち拡張スロット側を上(通常はCPU側が上)になるように固定することだ。実はこれがS1Hのサイズの秘密だったりもする。また、背面には12cmファン用の穴が設けられている(倒立配置なのでファンが一番下にくる)

側板開放

アルミ製側板を開放すると、中からは肉厚のスチール製シャーシが姿を現す。S1Hの1世代前にあたるS1はフルアルミだったが、こちらの方ががっしりしていて安心感がある。何より少々素手で触っても汚れが目立たないのが最高だ……

ベイ全景

ドライブベイは3.5インチオープンベイ、およびシャドウベイが本体から分離可能。ドライブの固定は古典的なネジを使うため、光学ドライブのフェイス位置をあわせるのが少々面倒(無精すぎ?)だ

フロントファン

フロントのファンはシャドウベイを外してアクセスする。小さいだけに1つ1つのパーツへのアプローチが少々面倒なのは致し方ないところか

マザーベース分離

M5と同様に、マザーを固定するベースはケース裏側からネジを外すことでシャーシから分離できる。このベースもシャーシと同じ素材で作られているが、肉厚のスチール合金を使っているせいかえらく重く感じる

ノギス

試しにベースの肉厚を計ってみたところ、なんと1.6mm……後で紹介する製品もそうだが、最近スチールといえば肉薄の製品ばかり見ていたから、この厚さは感動的ですらある

入らない!

コンパクトなケースだけあって、さすがにGeFoece 8800GTXクラスのビデオカードはドライブベイに干渉して入らない。3.5インチオープンベイの利用を諦めるという手もあるが、それでは何か負けたような気がする……

組み終わった状態

コンパクトさの秘密は、拡張スロットを少々犠牲にする点にある。拡張スロットの上から2本程度は電源ユニットに隠れてしまうのだ。拡張スロットに追加するものがサウンドカード程度の予定なら、むしろこれでもいいかもしれない

中のケーブルが凄いことに

とにかく内部が狭いため、最初のうちにLED等の配線を済ませておかないと後で苦労する。しかし、内部接続用のケーブルが異様に長く、普通に組むとこんな感じで内部がえらいことになる

テープでケーブルまとめた状態

中でケーブルが暴れるようなPCはデキる男のPCとは言えない! こういう時は「必殺テーピング」を炸裂させよう。貼っても跡が残りにくいテープを使って、こんな感じにまとめてしまうのだ

あえてATXにこだわる理由は?

 S1Hのメリットは、選択肢の多いATXマザーを使える点にある。だが、実際に組んでみると拡張スロットの一部が使えなくなることを考えたら、結局のところMicro ATXマザーを使うのとあまり変わらないような気がする。マザーのパーツレイアウト次第では電源や光学ドライブに干渉して使えないコネクターも出てくるかもしれない。
 では、あえてS1Hを使う理由は何だろうか? 先に解説した通りサイズというアドバンテージがあるが、筆者としてはコンパクトなケースの割に非常に頑丈という点を推したい。1.6mm厚のスチール合金でがっしりと作られたシャーシの安定感は、ペラペラのスチール板を使ったMicro ATXケースとは比べ物にならない。アルミとスチールのハイブリッドであっても、“アビーイズム”をしっかりと感じさせてくれる良ケースといえよう。

(次ページへ続く)

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