新年度を迎え、各社で新入社員の研修が始まっている。ビジネスマナーを身に付けさせるなどの研修は一般的なものであろうが、研修の成否は今後の自社の成長に大きく影響するので、その内容に趣向を凝らす企業も多いという。今回紹介したいのは、約1カ月に渡る新人研修合宿に「竹とんぼ作り」取り入れているTDK(株)だ。いったい竹とんぼが新人育成にどのように生かされているのだろうか。
想像以上の効果を狙える竹とんぼ!
2008年4月1日、TDKに100名を超える社員が入社した。TDKは電子素材や電子デバイス、記録デバイス、記録メディアの製造・販売を業務としており、新入社員の大半がもの作りがもともと大好きな技術系の人材なのだそうだ。彼らは4月4日から4月25日までの約1カ月間に合宿を中心とした研修に臨み、実際の業務に必要なさまざまな基礎を学ぶ。「QA概論」や「特許管理概論」といった知識から、ビジネスマナーやビジネス文章など社会人として必須の基礎スキルなどだ。これに「竹とんぼ作り」のカリキュラムが加えられているという。
竹とんぼ作りは「日本一の竹とんぼを作ろう」をテーマに、新人社員3人1組で挑戦される。しかしこの竹んぼ作り、ただ楽しんで作ればいいというわけではないようだ。そこは社会人の研修として、「売れて儲かる」という商品コンセプトもしっかり定められているのだ。新入社員たちは、今後実際の業務では“収益を上げる”ことを念頭に置いた“もの作り”ができなくてはならない。これがこの竹とんぼの目的なのだ。「自己満足の製品を作るのでなく、まず定められた品質基準(滞空時間3.5秒)を満たし、お客様が欲しいと思うような価値もなければいけません。つまり、利益の出るものを作ることがとても大切だと理解して欲しいのです」と同社の研修担当者加藤さん、林さんは語る。
作るものは竹とんぼとは言え、一筋縄ではいかない研修が繰り広げられているわけだが、実際のところ新入社員たちはとても楽しみながら作業を進めているという。
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