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アキバで恥をかかないための最新パーツ事情 第5回

[特集] 自作PC中級者が“知ったか”はハズいぜ!【Vol.5】

アキバで恥をかかないための最新パーツ事情【電源/ケース編】

2008年04月11日 23時59分更新

文● 加藤 勝明

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・最大電力
 最大電力とは、その電源ラインが実際に出せる電力をワット単位で示したものだが、ここが電源ユニットのスペックを理解する鍵となる。学校で習う公式「電力(W)=電圧(V)×電流(A)」(正確には、これに電力をどれだけ有効に使用できるかを示す値の「力率」を掛けるのだが、解説が難しくなるので便宜上ここでは力率を無視して計算する)をこれに当てはめてみよう。

出力電圧 +3.3V +5V +12V1 +12V2 -5V -12V +5VSB
最大電流 35A 40A 20A 20A 1.0A 1.5A 2.5A
最大電力 200W 390W 5W 18W 12.5W
総出力 520W
最大出力 610W

 表を例にすると、+12V1とV2がそれぞれ20Aなので、12V×20Aで240Wずつ使える計算になる。しかし、最大電力を見ると390Wとだけ、しかも+12V1とV2にまたがって書かれている。これは俗に「コンバイン出力」と呼ばれるもので、上の例の場合は+12V1とV2合わせて390Wが限界という意味になる。つまり、+12V1かV2のどちらかのラインで20A使い切ったら、残りのラインは7.5Wまでしか使えない、という意味だ。
 +3.3Vと+5Vも同じ意味だが、今のPCでこの2つの出力が不足する事態はまず考えられない。+12Vのコンバイン出力重視だけでOKだ。

インテリジェントパワーセレクター

アビー製の電源ユニットには、最適な出力配分を常に監視して+12Vラインを2レール(SPLIT)または、1レール(COMBINED)に自動で切り替える機能が内蔵されている製品がある。電力の計算が苦手な人には最適かもしれない

・総出力と最大出力
 電源ユニットが供給できる電力の大きさは、全てのコンバイン出力の合計値よりもさらに少ない場合がほとんど。500W電源だからといっても、+12Vが使えるのはそのうちせいぜい7~8割であることがほとんどだ。もし総出力が同じ電源ユニットが2つあったら、+12Vのコンバイン出力が多い方を選べばよい、ということになる。基本的には総出力の大きな電源ユニットほど+12Vにも余裕があるものになるため、まずは総出力でアタリをつけ、+12Vの太さで絞り込むのがよいだろう。

X3 1600-Watt Energy Efficient Modular Power Supply

出力1600Wの電源になると+12Vは117A/1404Wと、もはやよく分からないスペックとなっている。ここまでくると自宅の契約アンペア数を確認しておかないとブレーカーが落ちるかも?

 さて注意したいのは、電源ユニットの型番や外箱にデカデカと印刷された数値と総出力が違う製品もある、ということだ。電源ユニットの総出力(定格)とは、常時安定して出力できる電力の合計であるが、どんな電源ユニットでも10秒程度なら総出力を大幅に上回る出力(最大出力)が出せるように設計されている。この最大出力を総出力(定格)と勘違いしないようにしたい。

総出力の明記

良心的なメーカーは総出力(もしくは写真のように総出力と最大出力の両方)を明記している。しかし、なかには最大出力だけをデカデカと印刷した製品もあるので、パッケージはよく確認しよう

 また、初心者にありがちなのは、総出力=消費電力という勘違いだ。実際はどんな大出力電源でもパーツが要求する電力の合計に、変換時に熱として消費される電力をプラスした程度しか使われない。もちろん厳密にいえば大出力電源で低消費電力のパーツばかりを使うと、AC→DC変換時のロスが大きくなり、少々電力消費が大きくなるというのもあるが、1000W超のハイエンド電源ユニットを使わない限り、それほど気にすることではない。
 もっとも、闇雲に大容量電源に手を出しても、ケースに入らない(特に1000Wクラスのハイエンド電源は奥行きが長い)ため、パーツ構成に合ったものを購入するのが吉。売れ筋定番パーツを集めるなら500W程度、ちょっと高性能なパーツを使う場合でも700W位で事足りることも多いのだ。

通常、電源ユニットの奥行きは14cm前後が一般的だが、1000W以上の大容量電源は20cmを超える製品が多い。ケースによってはステーが邪魔で納まらなかったり、光学ドライブにぶつかってしまう可能性がある

(次ページへ続く)

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