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アキバで恥をかかないための最新パーツ事情 第3回

[特集] 自作PC中級者が“知ったか”はハズいぜ!【Vol.3】

アキバで恥をかかないための最新パーツ事情【VGA編】

2008年04月09日 23時51分更新

文● 加藤 勝明

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 古いPCの強化を行なう上で欠かせないのがグラフィック環境の強化。統合型マザーを使わない限り、ビデオカード抜きではPCたり得ないのだ。しかし、ビデオカードの世界はマザーに負けず劣らず製品数が多く、理論武装していかないと選びようがない。Google先生に相談して、現在のビデオカードはNVIDIAが設計した「GeForce」と、AMD(ATI)が設計した「Radeon」という2つのファミリーが勢力を二分している……というところまでわかったものの、そこから先どんな製品を選んでいけばよいのかさっぱり……という思いをしたことはないだろうか?
 という訳で第3回目は「ビデオカード」、特にそのコアになる「GPU」の“今どき”を学びつつ、最適なビデオカード選びのコツを体得しよう。

GPU

GPUとは“Graphics Processing Unit”の略。画像処理専門のCPUと考えてもらえばいい。ビデオカードの性能はこのGPUでほぼ決まってしまうため、GPUが同じであればどのメーカーの製品を購入しても大差はない(添付されているゲームソフトが違う程度)

全般的なトレンド:PCI-Express 2.0対応とミドルレンジクラスの強化

 ビデオカードの購入においても、マザーやCPUと同様に流行を掴んでおくことが重要だ。ここ最近のGPUのトレンドは下記のとおりとなる。

(1) ミドルレンジクラスの強化

 ビデオカードの性能は搭載されたGPUで決まるが、もっと突き詰めて考えるとGPUの中に入っている「ストリーミングプロセッサー(統合シェーダー)」の数が多いほど3D描画性能が高くなる。つまりビデオカードのランク(ローエンドやハイエンド等)はストリーミングプロセッサーの数で決まるのだ。 GeForce系とRadeon系では、ストリーミングプロセッサーの作りそのものが違うため単純な個数の比較はできないが、ストリーミングプロセッサーの数を基準におよそ下表のような分類ができる。太字の製品は、昨年11月以降に新規投入された最新GPUだ。

  NVIDIA AMD
超ハイエンド GeForce 9800 GX2 Radeon HD 3870 X2
ハイエンド GeForce 9800 GTX Radeon HD 3870
準ハイエンド GeForce 8800 GT 該当なし
新ミドルレンジ GeForce 9600 GT Radeon HD 3850
旧ミドルレンジ GeForce 8600 GTS/8600 GT/8500 GT Radeon HD 3650
ローエンド GeForce 8400 GS Radeon HD 3450

 ここで注目したいのは2つあるミドルレンジのうち、表中で“新”となっている方の存在だ。“旧”の方は昨年まで“お買い得”とされていたミドルレンジだが、準ハイエンドと較べて3D性能の落差が激しい。ところが昨年末から今年にかけてリリースされた新しいミドルレンジGPUは、そのギャップを埋めるようなスペックになっている。値崩れ状態になった旧ミドルレンジのお買い得感が高くなったが「ゲーム目的なら新ミドルレンジ以上」を選ぶのがポイントになるだろう。
 この新しい世代のGPUは最近のCPUと同様に、製造プロセスのシュリンクにより発熱や消費電力が1世代前のものよりも少なくなっている点も見逃せない。

Crysis

DirectX 10対応FPS「Crysis」のグラフィック見本。肌の質感はまるで実物のよう。リアルタイムでの描画はビデオカードの性能に左右される。ローエンドビデオカードやマザーボード内蔵のグラフィック機能だと、シワなどが描画されず、肌がゴムマスクのような質感になる可能性がある

(2) PCI-Express 2.0仕様へ移行

 GPUとチップセット間の接続インターフェースは、4年程前にインテルが「915 Express」チップセットへ移行したことを契機に「AGP」から「PCI-Express 1.1」にシフトした。さらに前述の新ミドルレンジを含む昨年11月以降に登場した新GPUは、より新しい「PCI-Express 2.0」に対応している。

AGP版のビデオカード(写真左)と、PCI Express版のビデオカード(写真右)。両者に互換性はなく、端子の形状も違う

 PCI-Express 2.0は1.1の転送速度を単純に2倍(理論上)にしたものだ。その性能をフルに活かすには前回解説したX38 ExpressやAMD 7シリーズといったチップセットと組み合わせるのがベストだが、現状はGPUやCPUの処理がボトルネックになってしまうため、転送速度2倍イコール性能も2倍、という訳ではない(実際はベンチをとってようやく差がわかる程度)。PCI-Express 1.1仕様のマザーと組み合わせても問題なく動作するため、あまりこの点だけを気にしすぎる必要はない。
 ちなみに、AGP版は完全に壊滅した訳ではない。しかし製品数が絶対的に少なく、かつ現行GPUよりも世代の古いGPUしか利用できないため、コストパフォーマンスが良いとは言えないのが現実だ。今この機会にマザーごとPCI-Express版のビデオカードに乗り換えてしまえば、そのビデオカードはマザーの世代が変わっても使い続けられるということも考えておくべきだろう。

RH3850-A512HW

「Radeon HD 3850」を搭載した玄人志向製ビデオカード「RH3850-A512HW」。まだまだAGP版も健在だが、製品のラインナップに乏しく選択肢は限られてしまう

(次ページへ続く)

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