NetBookとNetTopに大きな期待
IDF上海では、今年6月頃にリリースされるAtomプロセッサーの「Diamondville」を使用した、「NetBook」(インターネット接続がメインの低価格ノートPC)と「NetTop」(同じコンセプトのデスクトップPC)が展示されていた。
NetBookとNetTopは、Diamondvilleと945Gチップセットという組み合わせになっている。ストレージには2~8GBのフラッシュメモリーを使用し、無線LANを内蔵する。
インテルではNetBookやNetTopを、「インターネットに接続できる低価格PC」と位置付けている。同社が主導する低所得地域の学生向け低価格PC「クラスメイトPC」の第2世代は、このNetBookがベースとなっている。Atomプロセッサーを使用することで消費電力を低く抑えられるため、CPUファンが必要ない。さらに、マザーボードにCPUソケットを使用せず、直にボード上に取り付けることで、製造コストを安くできると説明している。
またインテルでは、NetTopの価格を300ドル程度(約3万600円)と予想している。しかし、日本でこの価格を実現するには、ダイレクト販売方式の採用など、製造以外のコスト圧縮が必要になるだろう。一方NetBookは、10インチ程度の液晶ディスプレーとバッテリーなどが必要になるため、価格的にはもう少し高く、400~500ドル(約4万800円~5万1000円)程度になるのではないだろうか。
出展されていた試作機を触った感触では、NetBookは“持ち歩くノートパソコン”として最適ではないかと感じた。さすがにメインPCとして使うにはパフォーマンス不足を感じるが、外出先でウェブブラウジングやメールのやり取り、原稿を書いたりするにはこれで十分だろう。10インチ程度の液晶ディスプレーとSSDの採用により、B5~A4変形サイズ程度で、薄くて軽い機器ができれば、セカンドパソコンとしては、ぴったりな機器と思う。
一方のNetTopだが、Windows Vistaを動かすにはパフォーマンスの不足を感じるものの、Windows XPでウェブブラウジングやメールなどに使うくらいなら十分な性能を持っている。
NetTopの用途では、学校/教育機関にコンピューター教育用のデバイスとして導入が挙げられている。それ以外にも、企業においてネット端末として大量に採用される可能性もある。セキュリティーへの懸念から、デスクトップPCを廃止して、すべてをシンクライアント的なネット端末に置き換え、ローカル側にはデータは保存しないエンタープライズ・システムを構築しようとしている企業もある。
このように考えると、実はAtomプロセッサーの本領はMIDやUMPCよりも、NetTopやNetBookにあるのかもしれない。だから、インテルが既存のPCとの違いを出そうとして、無理にNetTopやNetBookを“インターネット専用端末”用途に押しとどめようとすると、うまくいかないだろう。そもそも日本のPCメーカーなどは、コスト面でメリットの少ないNetTop/NetBookには、積極的に参入しようとはしないかもしれない。