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【IDF 2008 上海レポート Vol.5】

Atomプロセッサーはモバイルを変えるか?

2008年04月08日 22時48分更新

文● 山本雅史

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NetBookとNetTopに大きな期待


 IDF上海では、今年6月頃にリリースされるAtomプロセッサーの「Diamondville」を使用した、「NetBook」(インターネット接続がメインの低価格ノートPC)と「NetTop」(同じコンセプトのデスクトップPC)が展示されていた。

Atomプロセッサー搭載EeePC

IDFの展示会場でデモされていたASUSTeKのAtomプロセッサー搭載EeePC

「Tinkno」というブランド名の黄色いNetBook

この黄色いNetBookは、メーカー名は確認できかったが「Tinkno」とブランド名がついていた

 NetBookとNetTopは、Diamondvilleと945Gチップセットという組み合わせになっている。ストレージには2~8GBのフラッシュメモリーを使用し、無線LANを内蔵する。

NetBookを構成するコンポーネント

NetBookを構成するコンポーネント。CPUはDiamondvilleだが、「Atom Processor N270」となっている。これがDiamondvilleの名称かもしれない

 Atom Z500とDiamondville、Celeronの大きさ比較

Atom Z500(Siliverthorn)とDiamondville(N270)、PC用のCeleronの大きさ比較

NetBookはバリューノートの下に、新しいマーケットを作る

NetBookはバリューノートの下に、新しいマーケットを作ることが期待されている

 インテルではNetBookやNetTopを、「インターネットに接続できる低価格PC」と位置付けている。同社が主導する低所得地域の学生向け低価格PC「クラスメイトPC」の第2世代は、このNetBookがベースとなっている。Atomプロセッサーを使用することで消費電力を低く抑えられるため、CPUファンが必要ない。さらに、マザーボードにCPUソケットを使用せず、直にボード上に取り付けることで、製造コストを安くできると説明している。

Atomプロセッサーを搭載したクラスメイトPC

Atomプロセッサーを搭載したクラスメイトPC。液晶ディスプレーは8インチと小さいが、本体はラバーで覆われていて、落としても壊れないようになっている

 またインテルでは、NetTopの価格を300ドル程度(約3万600円)と予想している。しかし、日本でこの価格を実現するには、ダイレクト販売方式の採用など、製造以外のコスト圧縮が必要になるだろう。一方NetBookは、10インチ程度の液晶ディスプレーとバッテリーなどが必要になるため、価格的にはもう少し高く、400~500ドル(約4万800円~5万1000円)程度になるのではないだろうか。

 出展されていた試作機を触った感触では、NetBookは“持ち歩くノートパソコンとして最適ではないかと感じた。さすがにメインPCとして使うにはパフォーマンス不足を感じるが、外出先でウェブブラウジングやメールのやり取り、原稿を書いたりするにはこれで十分だろう。10インチ程度の液晶ディスプレーとSSDの採用により、B5~A4変形サイズ程度で、薄くて軽い機器ができれば、セカンドパソコンとしては、ぴったりな機器と思う。

 一方のNetTopだが、Windows Vistaを動かすにはパフォーマンスの不足を感じるものの、Windows XPでウェブブラウジングやメールなどに使うくらいなら十分な性能を持っている。

IDF会場でデモされていたNetTop

IDF会場でデモされていたNetTop(写真右)。OSはXP Home

DVDドライブを搭載した、やや大きめのNetTop

DVDドライブを搭載した、やや大きめのNetTop。Vistaが動作していたが、性能を示すインデックスのスコアは2.4で、非常にきびしい

NetTopのマザーボードサンプル

NetTopのマザーボードサンプル。マイクロATXやミニITXサイズのマザーボードとなっている。CPUファン付きのものもあったが、多くはファンレスタイプ

NetTopを構成するコンポーネント

NetBookを構成するコンポーネント。チップセットには、台湾SiSのコンポーネントを使うことも認めている

 NetTopの用途では、学校/教育機関にコンピューター教育用のデバイスとして導入が挙げられている。それ以外にも、企業においてネット端末として大量に採用される可能性もある。セキュリティーへの懸念から、デスクトップPCを廃止して、すべてをシンクライアント的なネット端末に置き換え、ローカル側にはデータは保存しないエンタープライズ・システムを構築しようとしている企業もある。

 このように考えると、実はAtomプロセッサーの本領はMIDやUMPCよりも、NetTopやNetBookにあるのかもしれない。だから、インテルが既存のPCとの違いを出そうとして、無理にNetTopやNetBookを“インターネット専用端末”用途に押しとどめようとすると、うまくいかないだろう。そもそも日本のPCメーカーなどは、コスト面でメリットの少ないNetTop/NetBookには、積極的に参入しようとはしないかもしれない。

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