春の嵐の中で降り立ったのは、埼玉県の本庄早稲田駅。東京発、新幹線「MAX たにがわ」で揺られること50分のその地に、NEC埼玉の携帯電話生産工場がある。
正式名称は埼玉日本電気株式会社。携帯電話機の設計から評価、生産までを一手に引き受ける工場だ。現在の最新機種で、9.8mmという薄さを実現した「FOMA N705iμ」(関連記事)もここで生産されている。
1日1000台! ケータイの組み立ては手作業で
携帯電話機の組み立ては手作業で行なわれていた。ラインと呼ばれる長さ11mの台に、11~12人程度の作業員が並び、流れ作業的に携帯電話機を組み立てている。今回見学したラインはほとんどが女性で占められ、また日本人だけではなくさまざまな国の人たちが作業に従事していた。
ラインでは組み立て作業のほかに動作検証と梱包まで行なう。1台あたりの組み立てから梱包にかかる時間はわずか10分で、1つのラインで1日に約1000台生産されるという。
とはいえ流れ作業は個人の作業効率があり、うまく流れないこともある。そこで、この工場では「助け合い」が作業の一環として組み入れられている。つまり、ある人の作業に遅れが出ていたら、その隣の作業員がそれを手伝うのである。
隣の人のステータスを把握するため、組み立てたパーツは“置く”のではなく“手渡し”するのもルールのひとつ。それ以外にも、さまざまな指導やノウハウが含まれる。それを養うための「ものづくり道場」という鍛錬の場も設けられている。
LEGOもケータイも極める道は同じ
「ものづくり道場」ではLEGOブロックを使用し、流れ作業的に組み立てていく訓練を行なう。「LEGOの組み立ても携帯電話の組み立ても、基本動作は変わりません」という張り紙が印象的だった。