操作性にはやや疑問点も残る
新機能であるタッチパネル操作に関しては、スライダーで絞りやシャッター速度を指定できるなど面白いアイデアではあるが、インターフェースとしてやや疑問に感じるところもある。例えば絞り値ならばバーは10段階だがシャッター速度は50段階を超える。バーの長さは45mmほどで、スタイラスではそれなりに可能な操作だが、指を使っての細かい調整はかなり難しい。
もちろん、画面上に表示されたカーソルのほうがいいと言っているわけではない(数十段階の指定を行なうのにアイコンを連打することになる)が、バーとスライダーという入力方式にも改良の余地があるのは確かだろう。
また、MENU及びQ.MENUで呼び出す従来型のメニューにはタッチ操作がほとんど使われていないのも気になるところ。例えば再生時の「画像削除」では液晶画面に大きく「1枚削除 はい/いいえ」が表示される。これで液晶画面をタップしない人はまずいない。しかし、ここもスティック操作のみだ。
すべての操作をタッチパネル化してしまうと使いにくくなるので、機能別に操作を分けるという考え方もある。従来機のユーザーが違和感なく使える点を重視している面もあるだろう。しかし、実際に使ってみると右手の指がスティックと画面上を往復することになり、やや煩わしく感じる。
ともあれ、クイックな動作や大画面液晶による分かりやすい表示、ダイヤルよりも手軽に選択できる撮影モードなどは使いやすくできており、AF追尾機能の反応も良い。FX35と同じく25mmという超広角レンズは建物や風景を撮るのに使いやすく、さらに望遠側が伸びたおかげでさまざまな被写体に対応できるのもありがたい。
撮影結果を見ると、広角撮影時の周辺では収差やボケが生じてしまうものの、広角から望遠まで描写自体はそれほど悪くはない。明暗の差が激しいシーンでも明部/暗部がつぶれにくく、画像処理などもかなり良くできている。
FXシリーズにはハイエンド機として1220万画素の「DMC-FX100」(関連記事)が発売中だが、本機はマニュアル露出系機能を搭載することでまた別の高機能コンパクトという方向性を打ちだし、コンパクトサイズながらいろいろと楽しめる製品に仕上がっている。電子ダイヤルよりも入力の応用範囲が広くタッチAF/AEなどの新機能を手軽に使える点では評価したい。
LUMIX DMC-FX500の主なスペック | |
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製品名 | LUMIX DMC-FX500 |
撮像素子 | 1/2.33インチ有効1010万画素CCD |
レンズ | 光学5倍ズーム、f=4.4~22mm(35mmフィルムカメラ換算時:25~125mm)、F2.8~5.9 |
静止画撮影 | 最大3648×2736ドット |
ISO感度 | オート、ISO 100/200/400/800/1600/3200、インテリジェントISO感度(ISO 1600~6400/300万画素相当記録) |
動画撮影 | 1280×720ドット、30fps、MotionJPEG圧縮QuickTime形式 |
液晶ディスプレー | 3インチTFT、約23万画素 |
記録メディア | 内蔵50MBメモリー、SDメモリーカード(SDHC対応) |
インターフェース | USB(AV出力兼用)、コンポーネント出力、DC入力(ACアダプター別売り) |
電源 | 専用リチウムイオン充電池 |
撮影可能枚数 | 約280枚 |
本体サイズ | 幅94.9×奥行き22.9×高さ57.1mm |
重さ | 約155g(本体のみ)/約175g(装備重量) |