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タッチパネル搭載の新型LUMIX 「DMC-FX500」

2008年04月10日 22時00分更新

文● 行正和義

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操作性にはやや疑問点も残る


 新機能であるタッチパネル操作に関しては、スライダーで絞りやシャッター速度を指定できるなど面白いアイデアではあるが、インターフェースとしてやや疑問に感じるところもある。例えば絞り値ならばバーは10段階だがシャッター速度は50段階を超える。バーの長さは45mmほどで、スタイラスではそれなりに可能な操作だが、指を使っての細かい調整はかなり難しい

撮影サンプル1 なんといっても25mmという広い画角は使っていて楽しい。1枚の画像に広い風景や建物を収めやすい。広角ならではの周辺画像の歪みによる荒れは確かにあるものの、広角ズームレンズではやむを得ないところがあるだろう。絞り優先オート、1/640秒、F5.6、ISO 100。元画像は3648×2736ドットで、掲載用にPhotoshopで800×600ドットにそれぞれリサイズ、トリミングを行なっている

撮影サンプル2 最近のLUMIXシリーズには逆光時に暗部の露出を引き上げる補正が付いているが、補正なしでも暗部はなかなか潰れず、明部も極端に飛ばないなど、ダイナミックレンジは広い。階調性も良好だ。絞り優先オート、1/10秒、F8、ISO 100

撮影サンプル3 広角側で撮影。発色は極端な彩度強調を行なっていないこともあってやや地味な印象を受ける。プログラムオート、1/800秒、F5、ISO 100。

 もちろん、画面上に表示されたカーソルのほうがいいと言っているわけではない(数十段階の指定を行なうのにアイコンを連打することになる)が、バーとスライダーという入力方式にも改良の余地があるのは確かだろう。

 また、MENU及びQ.MENUで呼び出す従来型のメニューにはタッチ操作がほとんど使われていないのも気になるところ。例えば再生時の「画像削除」では液晶画面に大きく「1枚削除 はい/いいえ」が表示される。これで液晶画面をタップしない人はまずいない。しかし、ここもスティック操作のみだ。

このような大きなダイヤログ表示でもタッチ入力ができないのはやや違和感がある

A/S/M各モードでは、画面上の露出補正用のバーをタッチ入力で操作するが、プログラムオートやシーンプログラム時は露出補正をスティックで行なうなど、操作性の統一感は不十分な印象

 すべての操作をタッチパネル化してしまうと使いにくくなるので、機能別に操作を分けるという考え方もある。従来機のユーザーが違和感なく使える点を重視している面もあるだろう。しかし、実際に使ってみると右手の指がスティックと画面上を往復することになり、やや煩わしく感じる。

 ともあれ、クイックな動作や大画面液晶による分かりやすい表示、ダイヤルよりも手軽に選択できる撮影モードなどは使いやすくできており、AF追尾機能の反応も良い。FX35と同じく25mmという超広角レンズは建物や風景を撮るのに使いやすく、さらに望遠側が伸びたおかげでさまざまな被写体に対応できるのもありがたい。

撮影サンプル4 望遠側での撮影。光学5倍ズームなので、単に遠くのものを大きく写すというだけでなく風景のどこを切り取るか、どの程度大きく写すかという選択肢が広いのは使いやすい。画面内に強い光源があるためか、低ISOで撮影したにも関わらず画像はやや荒れている。絞り優先オート、1/1000秒、F8、露出補正-0.3、ISO 100

撮影サンプル5 マクロ撮影などではタッチAF/AE機能でピント位置を指定できるのが使いやすい。広角側ならば通常モードで50cm、マクロ時は5cmまで寄れる。絞り優先オート、1/250秒、F8、露出補正-0.7、ISO 100

撮影サンプル6 iAオートでの撮影。夜景フラッシュ撮影となり、背景を描写するために感度を上げつつフラッシュも発光した。フラッシュに反射して小雨が光っている。高感度のノイズもやや多めで、ノイズを抑える画像処理のために輪郭がかなり毛羽立つような状態となった。プログラムオート、1/30秒、F2.8、ISO 800

 撮影結果を見ると、広角撮影時の周辺では収差やボケが生じてしまうものの、広角から望遠まで描写自体はそれほど悪くはない。明暗の差が激しいシーンでも明部/暗部がつぶれにくく、画像処理などもかなり良くできている。

撮影サンプル1と3の周辺部。水平垂直で歪みが生じている

 FXシリーズにはハイエンド機として1220万画素の「DMC-FX100」(関連記事)が発売中だが、本機はマニュアル露出系機能を搭載することでまた別の高機能コンパクトという方向性を打ちだし、コンパクトサイズながらいろいろと楽しめる製品に仕上がっている。電子ダイヤルよりも入力の応用範囲が広くタッチAF/AEなどの新機能を手軽に使える点では評価したい。



LUMIX DMC-FX500の主なスペック
製品名 LUMIX DMC-FX500
撮像素子 1/2.33インチ有効1010万画素CCD
レンズ 光学5倍ズーム、f=4.4~22mm(35mmフィルムカメラ換算時:25~125mm)、F2.8~5.9
静止画撮影 最大3648×2736ドット
ISO感度 オート、ISO 100/200/400/800/1600/3200、インテリジェントISO感度(ISO 1600~6400/300万画素相当記録)
動画撮影 1280×720ドット、30fps、MotionJPEG圧縮QuickTime形式
液晶ディスプレー 3インチTFT、約23万画素
記録メディア 内蔵50MBメモリー、SDメモリーカード(SDHC対応)
インターフェース USB(AV出力兼用)、コンポーネント出力、DC入力(ACアダプター別売り)
電源 専用リチウムイオン充電池
撮影可能枚数 約280枚
本体サイズ 幅94.9×奥行き22.9×高さ57.1mm
重さ 約155g(本体のみ)/約175g(装備重量)


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