「DSにシンセを入れる」という言葉にみんながやられた
── MS-10を題材にすることは議論の余地なく決まったんでしょうか?
佐野 そうですね。ボクが中学生の頃はじめて買ったシンセがMS-10なんです。
── ちょうど30年前の製品です。30年分の技術の進歩があるとはいえ、アナログシンセを小さなコンピュータで再現するのは難しくなかったのでしょうか? できる算段があった?
コルグ・井上 算段はなく、見切り発車でしたが(笑) 満足のいくスペックを表現できたと思います。
佐野 みんな「DSにシンセを入れる」という言葉のパワーにやられちゃったんでしょうかね。コルグさんとともに、DSの音周りの技術に長けているプロキオン・スタジオさんが参加してくださって、開発はとんとん拍子に進みました。
岡宮 まず最初に音源部分だけができたときに、出音(でおと)を聴いてびっくりしました。凄い! やばいことになる! と。この企画は絶対イケルと思っていたんですけど、やっぱり音を出してみないとわからない。
佐野 シンセの音が出るのかどうかが不安だったんです。でも、ボクらからみると、コルグさんはそれを軽々クリアしてしまった。まさにコルグの音でしたね。もうDSを持って会社中をまわりました。このフィルタの効きが!とか叫びながら。