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東方の三賢者が贈る、日本へのアドバイス

個の時代がやって来る──中島×小飼×津田・鼎談(中編)

2008年04月09日 12時00分更新

文● 斎藤温、撮影●曽根田元、聞き手●広田稔/トレンド編集部

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個を生かすにはエージェントが必要


小飼 あとは金持ちのパシリを見つけることですね。一年中ゴルフができるけどゴルフだけじゃ嫌だ、という人とか、引退できる年齢だけど精力が有り余っているから仕事をさせろ、という人にたかっちゃう(笑)。

津田 どこにたかっていくのか、という話ですね。それは僕自身も経験していて、やっぱり自分たちのお金だけでやっていくのは大変なんですよ。

 お金を借りるのも大変。自己資金だけでなんとか頑張って、まだつぶれずにやってますけど、「どうすればお金って入ってくるんだろう」って素朴に思います(笑) だから、たかりたい人と、たかられたい人をマッチングしてくれるサービスがあればうれしいですね。

── 出会い系のような感じですか。

小飼 そういうのがあると意外と重宝する人が多いと思います。「太鼓持ち」ってもっと注目されてもいいと思うんですよ。単によいしょするとかではなくて、上手にたかる術っていうのは、今後重要になってきますよ。

津田 個の時代が来たら確かにそうですよね。

小飼 そうそう。自分が不得手なことはほかに頼るしかない。

津田 日本のアーティストもそうで、やっぱりエージェントやプロデューサーといった、ビジネスなどをサポートする裏方の人間がいてくれたほうがいいと思います。技術者にもいると思いますが、すごいものを創り出すんだけど人間としてダメというのはゴロゴロしてますから。

小飼 いるなぁ(笑)



「箱」を持っている人が強い日本


津田 日本は不動産が高いということもあって、ライブをしてもアーティストがなかなか儲からない構造になってる。アーティストはライブのたびに、舞台使用料や照明料など、いろいろな料金を払わされてますから。音楽フェスティバルも似ていて、「プロモーションになるだろ」という理由で、アーティストは最低限の出演料しかもらえず、機材代などを取られて最終的に赤字になることも少なくない。

 これだけ音楽不況と言われているのに、潰れているライブハウスはそんなに多くはない。音楽やりたい人は多いですから、ライブハウスって業界の中では相対的に堅い商売なんですよね。結局、「箱」とか「場所」を持っている人間が強いという。

中島 ソフトウェアに置き換えると、全部下に投げるITゼネコンが儲かるのと同じだね。

小飼 同じですね。それってクリエイティビティーは必要ないもんなぁ。

津田 米国でも日本でも、それなりの規模のライブハウスで、お客さんが入った講演ならその飲食費だけでペイするんです。米国のライブハウスは、場所代やPA代とかを別途請求しないところも多いと聞きます。だから、ライブだけで食えるアーティストやバンドがいっぱいいるんですよ。

 業界の構造が固定化した音楽業界と比べると、技術者の世界は自分の能力やビジョン次第で切り開いていける世界だと思いますね。そういう意味では、実学になるような技術と、生きていくためのマネージメントまで含めて教えてくれる「技術者の学校」があるといいのかもしれないですね。

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