このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

東方の三賢者が贈る、日本へのアドバイス

個の時代がやって来る──中島×小飼×津田・鼎談(中編)

2008年04月09日 12時00分更新

文● 斎藤温、撮影●曽根田元、聞き手●広田稔/トレンド編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
3人勢揃い

左より、津田大介氏、中島聡氏、小飼弾氏

 前編に引き続き、中嶋聡氏、小飼弾氏、津田大介氏の3人に、これからの時代を生き抜く知恵とノウハウについて語ってもらった(3人のプロフィールは前編の最終ページを参照)。



「全部それなり」より「尖った部分」を


小飼 アップルのスティーブ・ジョブズや任天堂の岩田聡さんを見ていれば分かるかもしれないけれど、これからは、売り上げ高が何兆円という企業でも社長とその他大勢の時代になると思います。

中島 それはわれわれのような山師にとってはうれしいことだよね。個の時代が帰ってきたというか。

津田 個の話で言うと、ジョブズ率いるアップルが「iTunes Store」で配信ビジネスを制覇できたのは、やっぱりカタログメーカーを説得できたという部分が一番のポイントですよね。

 iTunesが日本に上陸する直前の時期、米国のレコード会社の人間が、日本のレコード会社の社長をジョブズに会わせようとしなかったという話を聞いたことがあります。会うと絶対に説得されるから

 やっぱりカリスマなんですよ。結局、向こうのレコード会社の人間は全員説得されちゃいましたし、映画業界も「iTunes Movie Rentals」という彼らが飲みやすいスキームを提示することでほとんどのメジャーをパートナーにしてしまった。

小飼 別にアップルや任天堂といった大企業だけの話じゃなくて、会社の規模に関係なく、ビジネスといえば即個人と直結している時代っていうのはもう来ています。だから尖った部分がない人っていうのは、どんどん器用貧乏になっていきますよ。

 各技能の最大値が100だとしたら、何かしら50以上のものがない人はヤバい。得意分野でない技能に関しては「これは必要だよね」と感じられる程度であればOK。足りないものは、ほかから買っちゃえばいいから。逆に、全部のパラメータが全部10というような、なんとなく全部それなりにできるという人は食っていけなくなります



究極は一人で働くこと


津田 企業で考えても同じですよね。携帯型のデジタル音楽プレーヤーで見ると、東芝の「gigabeat」はそこまで目立って売れてはいませんが、アップルのiPodに入っているHDDは東芝製のものが多い。

小飼 そう。お互いがお互いの客になればいいんです。その上で、もっとビジネスの種目を増やせばいい。日本国内で考えても、5種目しかないと1位になるのは難しいけれど、1億2000万種目があれば1位になるのはたやすい。世界規模で考えたらもっとですよ。

中島 あと、ジョブズになるのは大変だけど、ロングテールで食っていくっていう生き方は出てくると思う。例えばiPhoneのSDK(ソフトウェア開発ツール)が公開されて、開発者が自作のアプリケーションを売ることができる「App Store」が始まるでしょう。

 数年経てばそれだけで食っていける技術者が世界に100人以上出てくると思う。やっぱり究極は一人で働くことです。楽しいですよ。自分のペースでできるんだから。

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン