前編に引き続き、後編では外山氏の今後について重点的に聞いた。
ストリートの経験が政見放送に役立った
── 色々活動していく上でいろいろと資金が必要になってくると思うのですが、普段はどんな仕事をしていらっしゃるんですか?
外山 かれこれ20年近く、ストリートミュージシャンで生活費の大半を賄ってる。最近また連載を始めたので、多少文筆収入が復活したけれど、それで食っていけるほどじゃない。SPA!で注目されてたころの1~2年は、原稿料収入だけで100万円前後あったけどね。
── ストリートミュージシャンとしては大分古株ですね。
外山 おそらく、九州では僕が一番最初だと思う。今は食うためならどんな曲でも演奏してるけど、当初はブルーハーツしかできなかった。
今でこそブルーハーツは日本のロックのスタンダードだけど、当時は少数派の若者が熱狂して聞いていたものだから、ブルーハーツをやっているだけで、感覚的に近いやつが声をかけてきた。だから、仲間を発掘できると思ってやってた。それが、だんだん金が入るようになってきて、生活の糧になってきてから堕落してるんだけど(笑)。
── ちなみに今はどんな曲を歌っていますか?
外山 仕事でやっているときは、70年代のフォークやニューミュージック。井上陽水、吉田拓郎、かぐや姫、松山千春、あと長渕剛もやるけれども、全然好きじゃない(笑)。
陽水ぐらいだといくつかいい曲があるけど、松山千春とかねぇ……特にこの頭だから、松山千春のリクエストが多い(笑)。声マネもできるから、ますますこいつはファンだと思われるという(笑)。でも、その経験が政見放送の役に立ってるかな。
── どういうところが役に立ったんですか?
外山 路上ライブって、仕事でやるとオリジナリティーなんて求められないわけ。原曲にできるだけ近いニュアンスで歌った方が儲かるし、そのためには曲ごとに、元の声質に近いような声を作ってやってる。そういうストリートミュージシャン職人になることで、だんだんと何種類もの声が出せるようになって(笑)。それが政見放送の糧になっているかな。