チェック① ごまかし論法を見破れるか!?
では、例文の検証を始めましょう。赤ペンによるチェックが入っている部分に注意して下さい。今回はチェック①を解説します。
まず、冒頭から3つ目のセンテンス「そのため不正アクセスはシステムを壊滅的な状態にする」。この文に問題があります。
例文の一番最初の文は、システム全体に関するセキュリティについての記述です。次ではサーバへの不正アクセスを述べ、さらに3つ目の文で、結論としてシステムへの不正アクセスについて記しています。結論で述べているシステムは、サーバシステムのことなのでしょう。であるならば「そのため不正アクセスはサーバのシステムを壊滅的な状態にする」としなくてはならなかったはずです。しかし、この書き方ではシステム全体に言及した危機に話がすり替えられています。いわゆる「一例をもって全体を論じる」やり方です。これを「ごまかし論法」と言います。
ごまかし論法は、本人も気付かないまま書いてしまうことがあります。また意図的に使うことによって、読む相手を混乱させ、何かを得ようとする場合にも使われています。例えば、「より多くの予算を確保したい場合」などにあるかもしれません。
では、次の例文を見て下さい。
a.すべての鳥は空を飛ぶ
b.ペンギンは鳥である
c.ゆえにペンギンは空を飛ぶ
このような論理の展開を三段論法と呼びます。中学校で習ったのではないでしょうか。aを「大前提」、bを「小前提」、そしてcを「結論」と呼ぶのだと。ペンギンについて述べているこの論理展開は大前提が正しくないためにペンギンが空を飛ぶことになってしまいました。ペンギンは喜ぶかもしれませんが、間違った論理は人を混乱させるだけです。
ごまかし論法に騙されないコツはあります。大前提を導き出しているデータを検証することです。そしてさらに、それらのデータが正しいのかどうかを確認してみて下さい。データが正しいことを根拠もしくは担保と言い、英語ではワラント(Warrant)と言います。「大前提→データ→ワラント」の順番で検証していけばいいのです。
次回は、チェック②と③を解説します。
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筆者紹介──福田 修
(株)CSK、日本インフォメーションエンジニアリング(株)を経て、テクノロジー・オブ・アジア(株)設立、代表取締役に。適切な情報技術の動向把握に長け、2000年問題の効果的解決、インドのSI会社との提携、Webアプリケーションへの取り組み、オブジェクト指向設計/開発の導入等を、早い時期から対応し、後発システムベンダへの指導的立場にある。著書に『SEを極める仕事に役立つ文章作成術』(日経BP社発行)がある。
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